「ねーねー、岡村ってさぁ、なんかイヤだと思わない?」
「そうそう、エッチっぽくってさ、なんかオカマみたい」
1989年にリリースされたアルバム『靖幸』収録の「Punch↗」という曲は、岡村ちゃんをディスる女性2人の会話から始まる。80年代、私も岡村ちゃんをそんな風に思っていた。
曲はちょっとおもしろいけど、岡村靖幸って人、なんか気持ち悪い。自意識過剰で、なんかねっとりしてて。和製プリンスって言われてんの? へぇー、そうなんだ―― だが、90年代に入り、私は気がついた。この人、天才じゃ!?
1990年7月、TVK テレビの番組で、「どぉなっちゃってんだよ」の PV を初めて観たときの衝撃は忘れられない。なんなの、この曲!? 展開がまったく予想できない。
「俺なんかもっと頑張ればきっと女なんかジャンジャンもてまくり」とか歌詞も、なんかすごいんだけど。そして、この動き、目線。やばい、すんごく引きつけられる。セクシーって、こういうこと? 惚れたかも…。
岡村ちゃんに目覚めた私は、とりあえず過去のアルバムを聴きまくり、Live の模様を収録した VHS ビデオも観まくった。90年11月には最高傑作アルバム『家庭教師』がリリースされ、私の岡村ちゃん熱はますます高まっていった――
は、早く岡村ちゃんの Live に行きたい! DATE(岡村ちゃん Live はこう呼ばれる)がしたい!
ついにやって来た初 DATE の日は、91年1月2日。世間は正月でのんびりしていたが、私はそれどこじゃなかった。会場は、渋谷のパルコ劇場。思えば、席数たった458の会場で、25歳の岡村ちゃんと DATE って、なんと贅沢なことか。あまりに濃厚で、私は途中何度かクラクラした。芝居小屋であるパルコ劇場の雰囲気、岡村ちゃんの表現力も相まってか、ディープな演劇といった趣も。
特にすごかったのが、アンコールの1回目。約15分間ノンストップで、一気に飛ばしまくるのだが、このメドレー用のファンク色を強くしたアレンジがめちゃめちゃカッコいい。ほんと、よく鼻血出なかった。
80年代の岡村靖幸を無視してしまったことは不覚だが、あの伝説のパルコ劇場 DATE に間に合って、ほんとよかった。
あれから27年。いろいろあった岡村ちゃんだが、ここ数年は毎年春と秋の2回ツアーをしてくれる。もうね、それだけでベイベ(岡村ちゃんファンはそう呼ばれる)は幸福だよ。
今も私はドキドキしながら DATE してるよ、岡村ちゃん。そして、2018年ツアーはエラい曲をぶっこんできたね!
その話は次回に。
台詞引用:
Punch↗ / 岡村靖幸
歌詞引用:
どぉなっちゃってんだよ / 岡村靖幸
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2018.06.17