雑誌『BRUTUS』の「Summer Time, Summer Music」という特集の中で、作詞家の松本隆がこんなことを言っていた。 —— 日本の歌には季語があるんです。外国の歌は季節感のないものも多いけど、日本人は季節感のある歌を好むし、そういう歌を聴くとみんな安心する。四季のある国だから、季節感が無意識に刷り込まれているんだと思う。 四季があるのは別に日本だけではないが、言われてみると確かに “洋楽” には季節感を前面に押し出した曲が少ない気がする。 そこで、80年代の夏の曲にどんなのがあるか調べてみたところ、米国の音楽サイト『ULTIMATE CLASSIC ROCK』が「Greatest Summer Song Battle」という企画をやっているのを見つけた。 その企画では、ブライアン・アダムスの「想い出のサマー(Summer of '69)」とドン・ヘンリーの「ボーイズ・オブ・サマー」が対決して、ブライアン・アダムスに軍配が上がるのだが、勝敗はともかく、この2曲は僕の記憶の中の「80年代の夏」にちょっとだけ近い感じがした。 と言うのも、僕の「80年代の夏」は、部活動、音楽活動、アルバイトに明け暮れていたせいで、残念ながら「夏だ! 海だ! 太陽だ!」的な思い出はほとんどない。気づいた時には夏も青春時代も終わっていた、みたいな。だから、デイヴィッド・リー・ロスがカバーした「カリフォルニア・ガールズ」のビデオクリップのような世界観には共感しにくい。 そんな感じだったから、特に「ボーイズ・オブ・サマー」のような曲がスッと入ってくる。しかも、今聴いても違和感がない。きっと、この曲が醸し出す「ひと夏の終わり」「一つの時代の終わり」の匂いが、中年男の哀愁を帯びているからではないかと思う。 ドン・ヘンリーは、言うまでもなくイーグルスのドラマー兼ボーカリストで、何度もグラミー賞を受賞して殿堂入りもしている人だ。ドラムの技術は大したことないし、昔からメンバーとの軋轢や女の噂が絶えないが、ボーカリストとして、そしてソングライターとしては一流と認めざるを得ない。そういう、良くも悪くも人間くさい感じが、逆にいいのかも。Song Data ■ The Boys of Summer / Don Henley ■ 作詞・作曲:Don Henley, Mike Campbell ■ プロデュース:Don Henley, Danny Kortchmar, Greg Ladanyi, Mike Campbell ■ 発売:1984年10月26日(1985年2月9日5位) Billboard Charts ■ California Girls / David Lee Roth(1985年3月2日3位) ■ Summer of '69 / Bryan Adams(1985年8月31日5位) ※2016年7月31日に掲載された記事をアップデート
2016.07.31
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