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嗄れた声は狂暴化、トム・ウェイツが最も過激で実験的だった時代
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トム・ウェイツのアルバム「ビッグ・タイム」が全米でリリースされた日
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photo:FANART.TV  

トム・ウェイツといえば、嗄れた声の酔いどれ詩人として、また個性派俳優としても知られています。有名な曲としてはイーグルスがカヴァーした「オール'55」や「トム・トラバーツ・ブルース」などでしょうか。まるでブコウスキーの小説のような世界で寂しくブルースを唄う。何となくそういうイメージを持ってしまいがちです。

しかしながら70年代にすでに完成されていたそんなイメージと違い、私が初めてトム・ウェイツを聴いた80年代はレーベルを移籍した、アイランド・レーベル時代といって、その作品群は最も過激で実験的だった頃でもありました。

のちにロッド・スチュワートがカヴァーしてヒットさせた「ダウンタウン・トレイン」や数曲を除いてあまりキャッチ-な楽曲はなく、嗄れた声はさらに狂暴化、初心者にはかなりとっつきにくいものでした。それまでのピアノ弾き語りメインのサウンド面もホーンやパーカッションを多用するなど大きな変化を見せ、醸し出す雰囲気もどこか異国的な情緒を感じさせます。

同時期、映画にも深く関わるようになったトム。『ワン・フロム・ザ・ハート』『アウトサイダー』『ランブルフィッシュ』といったコッポラ監督作に出演してましたが、印象深いのはやっぱりジャームッシュ作品『ダウン・バイ・ロー』でしょう。この作品で俳優としてのトム・ウェイツに非常に魅力を感じました。

しかし、そうなったらやっぱりアルバムもまた聴きなおしてみたくなるところ。前述の「ダウンタウン・トレイン」が収録された『レイン・ドッグ』を中心にまたじっくり聴いてみます。『レイン・ドッグ』はキース・リチャーズの耳馴染みのあるギターがフィーチャーされた、この時期にしては比較的聴き易い作品。

そうしてこの『レイン・ドッグ』を聴いているうちにこのアルバムの中では親しみにくかった楽曲。例えば「シンガポール」「クラップ・ハンズ」「ビッグ・ブラック・マリア」といった最初奇天烈に感じていた楽曲がだんだんカッコよく聴こえはじめたのです。それぞれ曲タイトルを連呼、それも咆哮ともいえる強烈なシャウト。これが耳にこびりついてくるのです。

そんな80年代の集大成的なライヴ・ドキュメンタリー映画が『ビッグ・タイム』です。アイランド時代のベスト楽曲を芝居がかったセットとストーリーでライヴをおこなう作品なのですが、ここでのパフォーマンスを目にすることによってさらに完全にノックアウトされました。

前述した異国感というかSF的な異空間に迷子になってしまったような感覚とでもいいましょうか、上手く言葉で説明できないのですが、闇の合い間を縫って、気が付けばトムの咆哮のなかに自分が溶け込んでいきます。このライヴ映画を見たあと、アイランド時代の作品をむさぼるように聴きまくりました。

そんな不思議な魅力満載の『ビッグ・タイム』。是非ご覧ください!と言いたいところですが、未DVD化。残念。一部のネット上の動画とサントラCDだけでも是非!そして一緒に声を押し潰して叫びましょう。Clap Hands!!

2017.04.05
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カタリベ
1968年生まれ
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