6月20日

山下達郎「BIG WAVE」タイトル曲は大貫妙子が歌っていた!?

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サーフィン映画のサントラ「BIG WAVE」夏だ!海だ!タツローだ!!


夏だ! 海だ! タツローだ!!

そんなパブリックイメージに不安を募らせ、やや内省的なアルバム『MELODIES』を1983年にリリースした山下達郎。といいながら1年後には “夏と海の増殖” ともいえる作品をまたまた発表します。それが今回紹介する『BIG WAVE』というアルバム。サーフィンを中心に、あらゆるサマースポーツを取り上げたドキュメンタリー映画のサウンドトラックでした。

この映画、1984年の6月に公開されていますが、さほどヒットしていた記憶もなく、僕自身も劇場には足を運んでいませんが、後に街のいたるところで目にするようになります。そう、VHSデッキの急速な普及によりビデオソフト化された映画『BIG WAVE』が、小洒落た喫茶店やカフェバーでさんざん流れ始めるのです。折しも時代はMTV全盛期、そもそもがBGMならぬBGV的な鑑賞を狙った販売戦略だったのでしょうね。

パイナップル・ボーイズと日本初のミニFM「KIDS RADIO STATION」


そうそう、もはや忘れられているので少しだけ記しておきます。この映画の音楽監督が山下達郎なのはお馴染みですが、全ての曲をタツローが手掛けたわけではありません。当時、彼と同じムーンレコードに所属していたパイナップル・ボーイズというバンドが10曲も提供しているのです。基本的に歌モノがタツロー、インストはパイナップル、そんな棲み分けになっていました。

このパイナップル・ボーイズ、1982年に神宮前に開局した日本初のミニFM局「KIDS RADIO STATION」からデビューしたグループで、萩原健太のプロデュースにより “サーフィン/ホットロッド” のアルバムをリリースしたり、陣内孝則のバックバンドを務めたりもしていましたが、メンバーの急病により活動を休止してしまいました。映画のプロモーション期間中の出来事だったようですから、ちょっと残念でしたね。

ちなみに、このKIDSからは、ココナッツ・ボーイズ(後のC-C-B)をはじめ、ユミ飛鳥、パティ足利、マリ橘、パパイア・ガールズ、オレンジ・シスターズといった、もう名前からして好事家を唸らせる個性的なシンガーが 50's テイスト溢れるキュートな音源を残しています。ここを掘り下げていくと全く別の話になってしまうので今回は断念しますが、下に1曲だけ紹介しましょう。KIDSの看板DJだったユミ飛鳥がリリースした「恋して不安」のオリジナルバージョン、これめっちゃカッコいいですよ。

NHK-FM の企画で生まれた極上のポップス「魔法を教えて」


本題すら始まってないのに閑話休題もいいところです。山下達郎と映画『BIG WAVE』の話をするつもりでした。もはや映画の内容はおろか “夏うた” の話すらできそうにありません。しかしながら、タイトル曲である「THE THEME FROM BIG WAVE」については触れないわけにいかないでしょう——。実はこの曲、リリースの1年半前に山下達郎が大貫妙子に向けて書いたものなのです。

時は1983年1月、『山下達郎のポップス講座』というお正月特番が NHK-FM でオンエアされます。そこにゲストで登場した大貫妙子、“ヒット曲作りの実践” というテーマのもとに2人で曲を作り、さらには当時のツアーメンバーを呼び寄せてレコーディングまでしてしまうのです。そう、この番組で作った曲こそが後に「THE THEME FROM BIG WAVE」へとカタチを変える「魔法を教えて」という曲だったのです!

 まだ夢を見ていた頃 手探りの明日に
 私を照らした 貴方の微笑み

 一度恋をしたら
 ときめいた心を 忘れないでいたいから
 魔法を教えて

もちろんラジオ番組の企画なので、この音源は今なお未発表のまま。ただ、番組中の2人のトークによると、想定歌手は23歳の新人女性シンガー・ターボ、ターゲットはヤングアダルト(大学生~社会人1~2年生)、セールス目標は “新人としてはまあ十分な感じ” だそうです。さてさて、その結果はいかに!?


Song Data
■ 魔法を教えて / ターボ(大貫妙子)
■ 作詞:大貫妙子
■ 作曲:山下達郎
■ 編曲:山下達郎
■ ミックス:佐藤康夫

■ ドラム:青山純
■ ベース:伊藤広規
■ ギター:椎名和夫
■ キーボード:野力奏一
■ コーラス:大貫妙子、山下達郎、椎名和夫


2020.07.02
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カタリベ
1966年生まれ
太田秀樹
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