スパイ用語に「草」という言葉がある。普段は敵国内で善良な市民として生活し、本国から指令があれば活動するスパイである。時には何世代にも渡り生活をし、たった一度だけの指令を遂行して逐電するパターンもある。
音楽用語に「一発屋」という言葉がある。彗星のごとく現れ、その楽曲はCMソングに起用されてミリオンヒットになる。その後鳴かず飛ばずで、結局残ったお金で喫茶店のマスターになるパターンもある。
私にとっての一発屋と言えば、ザ・ヴィーナス(キッスは目にして!)が思い出されてしまう。しかし、ヴィーナスを一発屋というには失礼な話で、74年結成~84年解散という経歴を誇るグループだ。ただ私が「キッスは目にして!」しか知らないので、どうしても私の中では一発屋の分類にファイルされてしまうのである。誠に申し訳ない。
だが、この一発屋は年に数回ほど私の頭に蘇る。毎年である。この年になっても、である。
部下A:「旅人さん、それって引っかけというか罠じゃないですか?」
私:「罠?」「わな?」
次の瞬間、「罠」と「わな」の間にあのメロディーが流れてしまうのである。
しかも2回目の「わな」のイントネーションは尻上がりになってしまう。
すると私の頭の中は、あのCONNYという娘のポニーテールと水玉のスカートで一杯になってしまう。部下の話などもう耳に入らない。一発屋なのに毎年現れるのである。多分死ぬまで続くのだろうなあ。
2016.04.05
YouTube / 5005mitsu
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