9月21日

日本のリヴァプールと呼ばれた街「博多ビートパレード」開催決定!

36
0
 
 この日何の日? 
ザ・ロッカーズのデビューアルバム『WHO TH eROCKERS』がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1980年のコラム 
1980年の名盤、山下達郎「RIDE ON TIME」が色褪せない理由とは?

高校教師を見つめていたい、ポリスを通じて英米音楽市場を比較する

山下達郎「いつか(SOMEDAY)」の演奏に挑んだド素人軍団の試み!

時代を駆け上った横浜銀蝿、日本中を席巻し昭和天皇とも対面!

もはや国民的ヒットソング、田原俊彦「ハッとして!Good」の魅力!

サンシャインパワー炸裂!田原俊彦を彩った船山基紀のポップセンス

もっとみる≫




僅か9か月の間に立て続けにリリースされた3枚のアルバムによって、日本の音楽業界は大きな変革の時を迎える。

1980年9月21日
ザ・ロッカーズ『WHO TH eROCKERS』

1980年11月25日
ザ・ルースターズ『THE ROOSTERS』

1981年6月21日
THE MODS『FIGHT OR FLIGHT』

80年代初頭。博多、北九州出身のビートグループが立て続けにデビューした時期を前後して、マスコミは地域性と物珍しさから「めんたいロック」という言葉を用意した。しかし、彼らの奏でる音楽は、そんな一過性の安易なネーミングとは相反していた。

世間との迎合を拒否するかの如く不敵で、時代に風穴を開けるトリックスターのような不良性に満ち溢れていた。その秘密は彼らが流行に媚びず、ルーツミュージックへの愛情を貫き通した音楽性にあった。それはさしずめ、温故知新型のニューウェイブとでも言っておこうか――。

ブルース、ブリティッシュビート、パンク、ロカビリー… 50年代、60年代、70年代の音楽をマッシュアップし、見事に最先端のサウンドとしてドロップ。東京に撃ち放たれた彼らのロックンロールはテクニックやルックスが先行し画一的な当時のメジャーシーンとは一線を画していた。そして、彼らのビートには、海を越え長い航海を経て渡ってきたような郷愁と切なささえも垣間見られた。

日本のリヴァプールと呼ばれる街、博多。ここから巣立っていったバンドは、デビュー当時のビートルズと相通じるものがあった。それは、リヴァプール出身であるビートルズが、結成当初、エディ・コクラン、バディ・ホリー、チャック・ベリーといったアメリカンメイドのロックンロールを感度のよいアンテナでキャッチし、自らの感性で洗練されたポップミュージックに仕上げていったという点だ。

ビートルズと同じように、彼らもまた、洗練された独自のアンテナを張り、テレビからもラジオからも聞こえてこない海の向こうのマニアックかつ良質なロックンロールを吸収し自らの音楽の基盤としていた。そして、その深みがデビュー当時の独創性を際立たせる。特に博多の音楽シーンで中心的存在だった3つの伝説的なグループは、三者三様の異なる顔を持っていた――。


2019年4月に38年ぶりのニューアルバム『Rock’n Roll』のリリースを控えた陣内孝則率いるザ・ロッカーズ。

彼らはファーストアルバムのキャッチコピー「このスピードについてこれるか!」という言葉そのままに、ラモーンズの持つスピード感を継承。ニューヨーク・ドールズのようなグラマラスなステージングを基盤としている。そこにエディ・コクランや、60年代のガレージグループ、ミュージックエクスプロージョンのエッセンスなどを抽入、断崖絶壁をフルスロットルで駆け抜けるようなバイクの疾走感を体感できるスリリングなサウンドを得意とした。


一方、ザ・ルースターズはセカンドアルバムの「オーソドックスだけど、一番新しい」というキャッチコピーそのままに Dr.フィールグッドが奏でるシンプルかつ無骨なパブロックや、ローリング・ストーンズのブルースフィーリングを匂わせるバンドだった。そんな黒っぽさや危うさを研ぎ澄まされた演奏力で昇華、圧倒的なインパクトを放っていた。また、大江慎也の狂気とイノセントの狭間を行くヴォーカルスタイルは唯一無二だ。


博多最後の大物と言われ、「不退転のロッカー」という称号と共にデビューした THE MODS。

デビュー当時の彼らはバンド名からも想起できるようにザ・フーやスモール・フェイセズなど、湿り気のあるブリティッシュビートのメロディにスリリングなパンク的アプローチを抽入、レゲエフィーリングも垣間見せながら独自のビートを加速させていった。音の奥行きが深く、ヒリヒリとした痛みを伴うその世界観は新しい風となり東京を席捲していった。

―― 言ってみれば、80年代末から90年代初頭にかけて数多く登場した「ビートパンク」と呼ばれるバンドは、そのほとんどが、こうした博多、北九州出身バンドの模倣であった。


ザ・ロッカーズが82年に解散をし(その後、再結成)、ザ・ルースターズは83年前後から、内省的なネオアコースティックなサウンドに変貌していく… そして、THE MODS のみがスタイルを崩さず孤軍奮闘している時代を経て、平成を越えゆく今でも彼らのロックンロールは多くのフォロワーを生み続ける。

80年代の幕開けに時代を映してきた大いなる軌跡は、決して懐メロとして腐ることなく、その輝きが失われることはなかった――。


そんな博多 北九州のバンドを爆音でスピンする DJイベント、『博多ビートパレード』(場所:スポットライト新宿)が2019年4月13日(土)に行われる。

博多 北九州サウンドの源流にあり、シナロケの鮎川誠氏のキャリアのスタートとしても知られるサンハウス。そして、アメリカンロックンロール、DOO-WOP が根付いたフィフティーズの街、久留米が生んだ大スター、チェッカーズ等々…。

ビートパレードと銘打った通り、80年代前半からの “博多ビートミュージック” をたっぷり堪能できるスペシャルな1日。どうぞ、気軽に足を運んでみてください。

2019.03.02
36
  Apple Music


  YouTube / ザ・ルースターズ OFFICIAL CHANNEL


  Apple Music
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1968年生まれ
本田隆
コラムリスト≫
41
1
9
8
2
めんたいロックじゃ括れない!博多ビートグループの研ぎ澄まされた音楽性
カタリベ / 本田 隆
19
2
0
1
8
シーナ&ザ・ロケッツ「レモンティー」今なおピカピカの最新型!
カタリベ / 本田 隆
34
1
9
8
7
金子正次 幻の遺作「ちょうちん」陣内孝則とエヴァン・ルーリーの哀愁
カタリベ / inassey
14
1
9
9
1
腕が折れるまで叩け!ヒートウェイヴ山口洋の一喝で目が覚めた
カタリベ / やっすぅ
38
1
9
8
5
チャーリー・セクストンの際立つ革ジャン、レザー着てなきゃ始まらない!
カタリベ / inassey
57
2
0
1
9
陣内孝則率いるザ・ロッカーズ、日立 Lo-Dプラザでの貴重なライブ!
カタリベ / ロニー田中