1982年10月、ポール・ウェラー率いるザ・ジャムが解散を発表。ラジオ日本の『全英TOP20』でそれを知ったものの、今ほどウェラーのファンではなかった自分にはそれほどのショックはなかった。真のショックはひと月後、ザ・ジャムが本国イギリスでリリースしたラストシングル「ビート・サレンダー」をNHK-FMでエアチェックした時にやって来る。スゲー、かっこいい! すぐにレコード買わなきゃだ!!
しかし、すぐには買えなかった。ここで何度か書いたが、1980年代前半の田舎の高校生にとって輸入盤は簡単には手に入るものではない。じゃあ国内盤を買えばいいと思われるかもしれないが、解散発表を受けた日本のポリドール社は、ひとつ前の英国でのシングル「ザ・ビタレスト・ピル」を “ザ・ジャム、最後のシングル!” と謳って売り出していた。つまり、「ビート・サレンダー」の国内盤シングルはリリースされなかったのだ。
エアチェックしたテープを何度も聴き、好き度が増してくると、レコードで持っておきたくなる。が、音楽雑誌掲載の輸入盤店の通販広告をチェックしたが、2枚組限定盤7インチの送料込の価格は貧乏高校生には手が出るシロモノではない。1983年の夏休みに上京した際、輸入盤店で探してはみたが、もはやどのお店でも見当たらなかった。
「ビート・サレンダー」の英国リリースから一年が経過し、ご縁がない… と諦めていた矢先、日本のポリドールはザ・ジャムの2枚組ベスト盤『スナップ!』をリリース。そこには「ビート・サレンダー」がしっかり収録されていた。2枚組(+ボーナス7インチ)なので少々値は張ったが、ここまでくると買わざるを得ない。一年越しの恋が実りましたよ。
一年前のことが記憶に残らない今、思い返せば当時の好きな曲に向かう自分の中の熱量はすごかった… と思う。ちなみに同じ1983年、ポール・ウェラーはさらにスゲーかっこいい曲をリリースし、やはり国内盤が出なかったのだが、それについては次回の投稿で。
2016.10.30
YouTube / TheJamVEVO
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