そんな彼女が日本人に踊らされている! この衝撃といったら無かった。79年にオリビア・ハッセーがカネボウのCMに出たときは、もっと「ありがたみ」「うやうやしく拝見する」感じが世間にあった。それが、わずか3年の違いで、そこはかとなく漂うこの「安い感じ」は何なのだろうか(カルバンクラインのCMはあんなにスタイリッシュなのに)。もともとブルックは親日家らしく、後年フジテレビ『新春スターかくし芸大会(88)』にも出演するのだが、このCMでの彼女の変てこな踊りは、日本の経済力あってゆえ。『すみれ September Love』は「欧米至上主義という価値観」が崩れていく序曲にもきこえたのである。
誤解の無いようにいうと、『すみれ September Love』は、歴史に残る名曲である。オリコン週間最高2位、TBSザ・ベストテンでは10/21に1位、45万枚のヒットとなり、その後もSHAZNAなど多くのミュージシャンにカバーされている。そして一風堂のリーダー土屋昌巳は、ハリウッド女優を躍らせたばかりか、UKのビジュアル系バンド「JAPAN」のツアーメンバーとしても活躍、まさに元祖COOL JAPANだった。いま、21世紀のCOOL JAPANの先兵として、あのラーメン屋が一風堂を名乗っているのも、何かの縁であろう(実際、バンド名が店名の由来らしい)。