7月21日

あみん「待つわ」岡村孝子恐るべし…耐える女と見せながら実は80年代的あざとい女?

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シティポップ&昭和歌謡、とどまるところを知らないムーブメント


昨今のシティポップブーム、あるいは昭和歌謡の再評価(特に80年代楽曲派アイドルや和ブギー!)、このふたつのムーヴメントはとどまるところを知らないようだ。

現行の新進バンドがコンテンポラリーなシティポップを具現化し、10~20代の若者が80年代女性アイドルを熱く語り、重箱の隅をつつくようなノンヒットソング(アルバム)までもが復刻される(しかもアナログレコードも続々とリリース)。ネットをちょっと覗けば、さらにCDショップ(この言葉ももはや死語になりつつあるのか)をチラッと垣間見るだけで、“今は1980年代前半か!?” と、およそ40年前にタイムスリップしたかのよう。

この現象は現行大衆音楽の行き詰まりを表しているようで諸手を挙げて素直に受け取れられない部分も感じなくもないが、80年代に青春時代を過ごした方々にとっては、ちょっとワクワクする楽しい現象なのではないだろうか。

ブームに乗って再び脚光を浴びるか? あみん「待つわ」


このシティポップブーム / 昭和歌謡再評価の対象は、おおよそ誰もが知るようなビッグヒットソングではないところにあるようだ。

そもそも70年代から80年代までは100万枚を超えるようなメガヒットは、年1作品出るか出ないかというペースで、それほど多くが残されているわけではない。70~80年代のオリコンチャートTOP10クラス、ましてやミリオン級のヒットとなると、今以上に(特に2000年代以降)一般的認知度・共有感は劇的に高い。オリコン1位かつ100万超えヒットとなると、認知度は限りなく100%に近いだろう。

しかしシティポップブームや昭和歌謡再評価の対象となると、これらはメガヒットしすぎということになるのだろうか、ほぼ俎上に載ることはない。特にシティポップ文脈ではそれは顕著だろう。

そんなブームに触れるにつれ、一歩間違えたら(間違える必要はないのだけど)再脚光を浴びるのかも… なんて思わせてくれる80年代の当該曲を思い出す。そう、あみんのメガヒット「待つわ」(1982年7月21日リリース)だ。

岡村孝子と近藤晴子のデュオあみん、ポプコンでグランプリ


80年代を通してもシングル売り上げのベスト10入り(120万枚超)、女性アーティストの自作曲しかもデビュー作としては70~80年代唯一のオリコン1位となった「待つわ」。80年代のヒットソングの中でも、好き嫌いは別として認知度100%と断言していいほどの鮮烈なメガヒットっぷりだった作品。岡村孝子と近藤晴子、ふたりの女子大生からなるあみんの、世間一般的には一発ヒットと捉えられる曲だ。

当時のヒット法則のひとつでもあったヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)でのグランプリを経てのデビュー、現役女子大学生、岡村孝子による自作曲、ルックスの良さから醸し出されたアイドル的雰囲気、(一見)昭和歌謡風な歌詞世界… ヒットの背景にはこういった要因が混在していたわけだが、自作曲以外はシティポップ文脈にはなり難いものなのかもしれない。

空前の女子大生ブーム / 女性アイドル隆盛時だった中で、結局アイドルとアーティストどっちつかずに見えていたということにもなる。本人たちはアイドル的スタンスは微塵も醸し出していなかったし、そんな気はさらさら無かったのだが。

その後の岡村孝子ソロ活動を含めあみん(主に岡村)のアーティストとしての矜持・スタンスはまったくブレておらず、本人たちにとってはシティポップ云々なんぞは、どうでもいいことなんじゃないかな。

ヒットの要因、楽曲の良さと「待つわ」の世界観


「待つわ」のヒットの主要因は、とにもかくにもニューミュージック的雰囲気に包み込んだ昭和歌謡を継承した楽曲の良さ~歌詞の世界観にいきつく。1970年代のフォークブームを基盤とした(女性シンガーを前面に押し出した)青春歌謡(女性2人組ならばシモンズ!)路線の匂いを出しながら、“耐える女” と見せながら実は80年代的 “あざとい女” を描く…。

80年代2大 “待ち” ソングのもうひとつ、石川ひとみ「まちぶせ」(1981年、三木聖子がオリジナル)なんぞ可愛いもの、歌詞の根源に流れるあざとさ・自己愛は「まちぶせ」の比ではない。ここに特に女性からの “好き嫌い” が分かれるところなのだろうが、こういう世界観を肯定支持する女性って、いつの時代にも確実に絶対数存在するということだ。

そう考えると岡村孝子の “ルックスの良さ” までが、あざとさの演出なのかなんて勘ぐってしまう。超美人ではないが、両性から好かれる絶妙な “ルックスの良さ”… もちろんそれは偶然の賜物だろうが。それにしても「待つわ」のほぼ1年前、1981年に「まちぶせ」がヒットしていたわけで、それを踏まえてこの曲を作ったのだとしたら岡村孝子恐るべし。



2021.02.08
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あみんは、岡村孝子さんと加藤晴子さんのデュオです。
記事では「近藤晴子」さんとなっていますが、正しくは「加藤晴子」さんですので記事の訂正をお願いします。
参考: http://www.city.toyokawa.lg.jp/shisei/koho/kohotoyokawatext/29nen/20170101go/20170101text9.html
2021/02/11 09:09
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