僕は1965年生まれなので、音楽的な意味で物心がついたのは70年代だ。そして、その頃ポップミュージックの世界で「女王」と言えば、彼女をおいて他にはありえなかった。
ダイアナ・ロス。
初めて彼女が歌う姿をTVで観た時、「これが本物のスターか」と幼心にも衝撃的だったのを今でも覚えている。
彼女は18曲の全米No.1ヒットを持っており(シュープリームス時代に12曲、ソロになって6曲)、2008年にマライア・キャリーに追いつかれるまで単独トップだった。「ウィ・アー・ザ・ワールド」のレコーディングの際には、スティーヴィー・ワンダーと共に、当たり前のように最前列中央に立っていた。
92年にケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンが共演して大ヒットした映画「ボディガード」も、元はと言えば、70年代にスティーブ・マックイーンとダイアナ・ロスの共演を前提に書かれたものだ(その後一旦お蔵入り)。
そんなダイアナにとって最後のNo.1ヒットとなったのが、ライオネル・リッチーとデュエットした「エンドレス・ラブ」。
彼女は過去に3人の男性シンガーとイレギュラーのデュエットを組んでいるが、マーヴィン・ゲイ、マイケル・ジャクソンに続く3人目のパートナーが、ちょうどコモドアーズから独立したばかりのライオネルだった。
そもそもデュエットソングは、映画とのタイアップが多いこともあって、僕たち旧世代の日本人にとって、歌詞も曲調もとても正気で聴いていられないような「こっぱずかしい」ものが殆ど。だからこそ、ダイアナの「女王」ぶりが際立つのかもしれない。
「エンドレス・ラブ」はその最たるものだと思うが、楽曲だけを見れば(聴けば)ライオネルのソングライターとしての力量が発揮された名バラードだと言えるだろう。
思えば、80年代には男女デュエットのヒット曲がたくさん登場した。以下は全て80年代の楽曲である。
■ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズ「愛と青春の旅だち」
■パティ・オースティン&ジェームス・イングラム「あまねく愛で」
■ケニー・ロジャース&ドリー・パートン「アイランド・イン・ザ・ストリーム」
■パティ・ラベル&マイケル・マクドナルド「オン・マイ・オウン」
そんな数あるデュエットソングの中で、史上最大のヒットとなったのが「エンドレス・ラブ」で、82年にはアカデミー賞とグラミー賞の両方でノミネートされている。「女王」の華々しいキャリアの最後は、やっぱり「女王」らしく華やかだった。
Endless Love / Diana Ross & Lionel Richie
作詞・作曲・プロデュース:Lionel Richie
発売:1981年8月1日(8月15日1位)
2016.08.03
YouTube / DianaRossTV
YouTube / satamikoR
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