暑過ぎる夏が終わり、季節が君だけを変えようと温度を下げてくる秋口、この季節を代表するファッションアイテムと言えばレザー。真夏以外は着られると言われているが、実際着用可能な時期は思ってる以上に短い。
ブロードウェイミュージカルの出演者達が革ジャンを着ているのを見て、ショーケンこと萩原健一が「これからは革ジャンだ!」と日本に持ち込んだという話を聞いた―― 僕が革ジャンを意識するようになったのは、TVドラマ『傷だらけの天使』を観てからだ。
その後、日本でも世界でも革ジャン文化は花開いていった。数多くのバンドや役者、そしてスタジャンを着用していた大学生にまで…。当時はレザー着てなきゃ始まらないって思ってた!
音楽との関わりも深く、70年代末期のパンクから80年代のニューロマ勢に至るまで、その着用率は高く、かつ男女を問わず愛されていた―― 特筆すべきは今や絶滅寸前となってしまったレザーパンツやレザースカートの着こなしも多かった点だろう。そんな中で最も印象に残っているのは1985年、若干17才でデビューしたチャーリー・セクストンの革ジャン姿。
彼はマーロン・ブランドやジミー・ディーンが内包していた青春の輝きというオーラと同じものを周囲に発散していた。それは無条件に女性にとってはフェロモン、男性にとっては憧れとなり、ここ極東の国、日本でもそのクールな姿に大騒ぎとなった。
数多の才能と魅力を所有し、それでも何処か不満そうなチャーリーは自分と一つしか歳が変わらなかった(僕は彼が持っているものを何ひとつ持っていない)。
デュラン・デュランのメンバーもレザーを好んで愛用していたし、ジュリアン・コープに至っては上下レザーのセットアップ… しかも長い手足も相まって誰よりも似合っていた。だが、そんな中でもチャーリー・セクストンの革ジャン姿はなぜか一際目立っていたのだ。
当時は MTV全盛で UK の美形バンドも数多く紹介されていた… にも関わらずテキサス出身の17才の若者がどうやって日本でも人気を博すことができたのか。
それは、たぶんレコードジャケットに表現されている疾走感(1stアルバム『ピクチャーズ・フォー・プレジャー』やシングル)、もちろん曲が良い事が大前提だとしても、彼が発するオーラ、それを後押しする革ジャンやレザーパンツ… そうした刹那性を感じさせるファッションにもあっただろう。
さあ、今年も新しい革ジャンで出かけよう!
追記
以前、
レオス・カラックスの映画『汚れた血』について書いた。映画ではドニ・ラヴァンがデヴィッド・ボウイの「モダン・ラブ」をバックに疾走する。あのシーンで違う曲を選べと言われたら、やはり僕はチャーリーの「ビーツ・ソー・ロンリー」しか思いつかない。
2018.09.28