11月26日

レオス・カラックスとデヴィッド・ボウイ、疾走する映画と疾走する音楽

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レオス・カラックスの映画「汚れた血」がフランスで劇場公開された日
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photo:Amazon  

疾走する音楽。疾走するファッションと言えばパンクだと思う。

全てのロックは「疾走」しているだろうという話になるが、鈴木いづみ風に言えば《速度が問題なのだ!》という結論に落ち着く。瞬間最大速度と置き換えてもイイ。

世界有名疾走と言えば、疾走する映画俳優・ジェームズ・ディーン。疾走する永遠のチャンピオン・大場政夫。2人ともスポーツカーによる自動車事故で亡くなっていて疾走のイメージを永遠とした。若さとスピードの果てに悲劇的な最期。

疾走する映画とは? 疾走する音楽とは?

これは人によって千差万別だが、僕の中ではレオス・カラックスの86年の映画『汚れた血』である。稀代の完璧主義者として知られるフランス人監督の3部作の2作目。この3部作はジャームッシュの3部作と並んで好きだ。

もはや、あらすじ等どうでもイイ! 女優、ジュリエット・ビノシュを美しく撮る為だけに存在しているかのようなこの映画の中で、彼女を愛する主人公を演じるドニ・ラヴァンが最高の輝きを放つ。

ラジオから聴こえてくるデヴィッド・ボウイ… ドニは、どうしようもない恋ごころを爆発させて、凄まじい熱量を放ちながらパリの街を疾走していく。

その原動力は、Boy Meets Girl

僕ら40ベイビーズはティーンの頃、いつも何処かに『どうしようもない恋ごころ』という感情を抱いて日々を送っていたと思う。それは此処ではない何処か。自分ではない誰かに恋い焦がれる事と同義な気がする。そんな思春期特有の感情の爆発!

25を過ぎてしまえば思い出す事さえ容易でないその感情が、僅か数分のフィルムに閉じ込められる。50近くなって観ても、思春期特有のあの感覚、熱量を忘れさせない映画。そして、それらすべてを真空パックに詰め込んだようなシーンだったのだ。思春期にあのシーンを観た者は一瞬で爆発的な恋ごころを思い出すことだろう。

青春のほんの一瞬が刹那的な輝きを放つのは「疾走」の美しさに大いに関係している。ここしかないという場所、今しかないという時に、自分にしか出来ないことをやりきる。そしてその結果は一切問われない。成功しようが失敗しようがその課程だけが「疾走」という美し過ぎる思い出として永遠に胸に刻まれるのだ。

ところで、ボウイの「モダン・ラブ」は此処でしか成り立たないというシーンでドンピシャのタイミングでラジオから鳴り響くのだが、仮になんて話が許されるのであれば、ここで、チャーリー・セクストンの「ビーツ・ソー・ロンリー」が鳴り響いたとしたらどうだろう?

いてもたってもいられない。それにしても抑えきれない、この衝動は一体何なんだ!

2017.08.15
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カタリベ
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