11月1日
十代限定の理想郷、レベッカの「76th Star」と 原宿チャオバンビーナ
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レベッカのアルバム「REBECCA IV~Maybe Tomorrow~」がリリースされた日
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photo:SonyMusic  

80年代の終わりの原宿。ちょっと前に流行った言葉で言うならば、裏原のあたりに「チャオバンビーナ」という美容室があった。

十代の終わりごろから、僕はここに通っていた。ハンドメイド感溢れるカラフルな内装。友だちの家に遊びに行ったようなアットホームな雰囲気。時はバブル。シックな高級感が求められる店が多い中、時代の真逆をいった内装だった。

この美容室の面白いところは、「22才以上お断り」を掲げていたところ。21才以下の限定サロン。スタッフもみんな同年代。僕らお客は22歳を過ぎるとこの店を卒業し、系列のアーバンな雰囲気の大人向け美容室を紹介される――

つい先日、Twitter で、この美容室の思い出を呟いたら、フォロワーさんから、「私も行ってたー」「私、働いてました!」なんてリプが返って来た。僕らは、青春と呼ばれる時期をとうに過ぎ、オトナになってずいぶんと経つ。当たり前だが、そんな僕らもみんな21才以下限定だったのだよ。なんだか感慨深い。

毎月、チャオバンビーナに髪を切りに行くという行為はちょっとしたイベントだった。おしゃれな友達とファッション、音楽などの情報交換をしに行くという感覚。髪を切りながらも、「新しいディップがはいったから使ってみようかー」なんて、美容師さんとお客さんが同じ目線で話しながら髪型が変わっていく。

髪型が変わると世界が変わる―― 十代の頃ってそうだった。チャオバンビーナの椅子に座っている時は、原宿の真ん中に座っているような気分。そして、原宿こそが世界の真ん中だと思えた。この街の空気をたっぷり吸いこみ、洋服と音楽と夜遊びに夢中になっていた僕らにとってチャオバンビーナの扉の向こうにキラキラした僕らだけの譲れない価値観があった。それは、レベッカのこの歌のように。


 星くずたちよ聞いて 私 約束するよ
 世界中の誰より 輝いてみせるって
 アナタがアタシの 総てを変えたわ
 探しつづけてた 心のカギ扉をひらけば

 I’m 76th No.1 STAR
 すい星のようにキラめくよ エンジェル
 ハートはNo.1 STAR
 夢みているのよ


「76th Star」は、レベッカが大ブレイクした4枚目のアルバム『REBECCA Ⅳ~Maybe Tomorrow~』に収録されている。日テレ系のドラマ『ハーフポテトな俺たち』(※注)のエンディング、オープニングに使われた「フレンズ」「ガールズ ブラボー!」にも負けず劣らずの名曲である。

『REBECCA Ⅳ』が17才の時にリリースされ、繰り返し繰り返し、この曲を聴いた。もちろん NOKKO が歌うから、ティーンエイジャーの女のコ目線ではあるが、なぜかすんなりと感情移入できた。

ここには、十代限定で思いを馳せることができる理想郷へと繋がる扉が必ずある―― そんなことを本気で信じられた。尾崎豊の「十七歳の地図」のような鬱屈とした日々を送っていた僕にとって、その扉こそが原宿の街にあったのかもしれない。

21才以下限定のサロンは、「この年代にしかできないこと、この年代にしか吸収することができないものが、原宿の街にたくさんあるんだよ」ってことを僕たちに教えたかったのかもしれない。

当時の僕は、古着やロンドンカルチャー、音楽に夢中で、お気に入りのカフェやショップ、そしてヘアサロン… そのすべてが原宿にあった。しかし、同時にいつかは卒業しなくてはならない街だってことにも薄々気づいていた。

だから、チャオバンビーナは、そんな限られた期間に、「すい星のようにキラキラと輝く魔法をかけてくれる」とっておきの場所だった。だから22才を過ぎても、オトナになっても、ずっとずっと、この街で吸収したことを忘れずに生きていけるんだと思う。

十代の終わり、髪型を変えてもらい、サロンの扉を開けて、原宿の街に繰り出す瞬間、僕の心の中には、いつもレベッカの「76th Star」が鳴り響いていた。


※注:
『ハーフポテトな俺たち』
1985年10月9日から放送されたテレビドラマ。ハンバーガーショップでアルバイトする高校生たちの悩みや恋愛を描いた青春群像劇。
中山秀征、湯江健幸、香坂みゆき、ほか。



歌詞引用:
76th Star / レベッカ


2018.08.30
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カタリベ
1968年生まれ
本田隆
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