6月

デュラン・デュランのアンディ・テイラー、忖度なしのソロデビュー!

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アンディ・テイラーのファーストソロアルバム「サンダー」が英国でリリースされた月
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人気バンドのメンバーが作るソロアルバムの期待と不安


ロックバンドもキャリアを積み重ねていくと、メンバーがソロアルバムを作ったりする。ボーカリストやリーダー格のメンバーのソロアルバムであれば、そのバンドのファンなら期待してリリースを待つはずだ。

では、ボーカリストでもなく、リーダーでもないメンバーのソロアルバムだったらどうだろうか? 期待もあるけれど、正直、不安も感じるのではないだろうか? でも、私の場合、不安よりも「果たしてどんな音楽を聴かせてくれるのだろう?」というワクワク感の方が上回ることの方が多いように思う。

もちろん、今までワクワク感を裏切られるソロアルバムもたくさん聴いてきた。その分、素晴らしいソロアルバムに巡り会えた時の喜びは格別なのだ。例えて言うなら、ガリガリ君の “1本当たり” が出た時くらいの喜びだろうか? ちなみにインターネットで調べたところ、ガリガリ君の当たりの確率は3.2%だそうで、かなり高いハードルかもしれない。

さて、今日のコラムはガリガリ君の話ではない。人気バンドのメンバーが作るソロアルバムの話なのだ。

デュラン・デュランのギタリスト、アンディ・テイラーがソロデビュー


デュラン・デュランの元ギタリスト、アンディ・テイラーは1987年にソロデビューアルバム『サンダー』をリリースする。

アンディがソロデビュー前に参加した作品は『パワー・ステーション』だった。デュラン・デュランのそれまでの作品と比較すると、ギターが担う役割は大幅に増えている作品だ。アンディも水を得た魚のように、デュラン・デュランの時には想像できないほど思い切りギターを弾いている。

アンディのハードロック好きは以前から知られていたが、シンセサイザー主体でダンサブルなサウンドのデュラン・デュランの音作りの中では、ダイナミックにギターを鳴らす機会も少なかった。しかし、ジョン・テイラー、ロバート・パーマー、トニー・トンプソンと結成したパワー・ステーションでは、メンバーにキーボード奏者がいないことや生音主体のファンクロックを演奏していたことからもギターの比重がグッと増えていたことで、ギタリスト=アンディ・テイラーの面目躍如となったのだ。

ロックギターを弾くことの喜びを改めて感じたアンディは、パワー・ステーションでの共演の縁からロバート・パーマーの大ヒット曲「恋におぼれて(Addicted To Love)」でもギターを演奏し、カッコ良く歪んギターを聴かせてくれる。

こうして完全にギタリストとしての自我が爆発したアンディは、デュラン・デュランを脱退し、ソロアーティストとしての道を選び、デビューアルバムとして作られた作品が『サンダー』なのだ。

まるで往年のブリティッシュロック! ソングライティングも充実


本作『サンダー』がリリースされた当時、デュラン・デュランとは全く違う音作りでアンディがハードロックをやっているというレビューが殆どだった。確かにハードロック然とした曲もあるのだが、改めて聴き直してみると、ギター弾きまくりのハードロックというよりは、往年のブリティッシュロックを想起させる作品と言った方がしっくりくる。

ボーカリストとしてもハードロックを歌うにはやや線が細いアンディの声だが、ブリティッシュロック調の憂いを帯びたミドルテンポの楽曲などは最高にハマっていて、デュラン・デュラン時代にボーカリストとしての才能を活かさなかったことは極めて勿体ないと思ってしまうほどだ。

また、特筆すべきはソングライティングの充実ぶりだ! ハードでアップテンポの曲からバラードまでバラエティに富んだ曲を書きあげている。どの曲もポップでメロディの起伏がはっきりとしており、シングルカットしても申し分ない曲がたくさん収録されている。アルバム1枚を最後まで飽きることなく聴き通せる傑作だ。

しかし、文句なしのソロアルバムを作り上げたアンディだが、本作はセールス的には思ったほどの成果をあげることはできなかった。

その理由を考えてみると、デュラン・デュランの主なファン層である10代の女の子たちには、「何かギターがうるさくてヘヴィメタみたい…」と受け取られ、ハードロックを聴いているキッズからは「アイドルバンドにいたギタリストのソロアルバムなんて聴けるかよ…」と冷遇されてしまった結果だったのではないだろうか?

セールスに関しては、デュラン・デュランという輝かしいキャリアが完全に裏目に出てしまったことは、とても残念でならない。

ソロデビューは転職? やりたいことを優先したアンディ・テイラーの心意気


セールスの苦戦はあったもののアンディの気持ちはどこか晴れやかだったのではないかと私は思うのだ。デュラン・デュランを脱退してのソロデビューは、ある種の転職だったと考えることはできないだろうか?

私の経験で申し訳ないのだか、私は42歳の時に転職を経験している。それまで勤めていた某地方公共団体で公務員として働き、安定した給料が約束されていた。しかし、色々と思うところがあり東京多摩地区を拠点とする従業員150人規模の中小企業に転職した。

友人に転職の相談をすると、決まって「公務員なのに勿体ない」と言われることが多かったが、自分のやりたいことを優先し、転職することを決意したのだ。心機一転、転職後は自分の希望に近い職種で晴れやかな気持ちで充実したサラリーマン生活を送っている。

アンディのデュラン・デュラン脱退~ソロデビューと私の転職ではスケールが違いすぎるのだが、きっと、アンディもデュラン・デュランという安定と自分がやりたいことができるソロを天秤にかけたことだろう。その結果、安定よりもやりたいことを優先したアンディの心意気に私はグッとくるのだ。

ソロアルバム『サンダー』では、手に入れた自由を思う存分謳歌するため、思い切りギターを弾き、少年時代からの憧れだったブリティッシュロックをカッコ良く歌っている。そこには一点の迷いもない晴れやかに吹っ切れたアンディ・テイラーの姿が刻み込まれている。今、聴き返してみても48歳の私の心をワクワクさせてくれる会心のアルバムなのだ。

それはもう、ガリガリ君の “1本当たり” が出て、取り替えたら、さらに “もう1本当たり” が出るくらいのワクワク感なのである!

ちなみに私は、2度転職したが、ガリガリ君は1度しか当たったことがない。


追記
私、岡田浩史は、クラブイベント「fun friday!!」(吉祥寺 伊千兵衛ダイニング)でDJとしても活動しています。インフォメーションは私のプロフィールページで紹介しますので、併せてご覧いただき、ぜひご参加ください。


2021.02.10
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カタリベ
1972年生まれ
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