最近、80歳になる父が「忌野清志郎は素晴らしいね。」と言った。「どうしたの?」と返すと「とにかく詞が凄いよ。」という。欧米とは違って政治的発言を控える芸能人は多い。それはそれで賢い選択だと思う。でも清志郎さんは体制側の横やりにも負けず、反核や反原発を訴える曲を発表してきた。 父が薦めてくれた曲は「サマータイム・ブルース」。耳にやさしい甘ったるい曲に慣れ切っていたところに清志郎さんの曲を耳にして私はロックが確固としたカウンターカルチャーであった時代を思い出した。 私より上の世代はベトナム戦争の最中40万人を集めた「ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)」(1969年)を挙げるかもかもしれないが、私が一番印象に残っているのは、1980年代のミュージシャンたちだ。 例えば、ジェネシスを脱退したばかりのピーター・ガブリエル。彼は、南アフリカのアパルトヘイト(白人と有色人種とを差別する人種隔離制度)に反対し殺された活動家スティーヴ・ビコを讃えて彼の名を題名にした曲を作っている。そして、いつしかこの曲「Bico」(1980年)は反アパルトヘイトの賛歌となった。 それ以後もアパルトヘイト反対プロジェクト(Artists United Against Apartheid)に参加し「サン・シティ」(1985年)がリリースされている。ピーター・ガブルエルのほかにブルース・スプリングスティーン、ボブ・ディラン、ジョージ・クリントン、ボノなど、超一流のミュージシャンが多数参加。 政治的な課題を真正面から取り上げたガチな熱がそのプロモーションビデオから強烈に伝わってきたのを覚えている。警官に容赦なく取り押さえられる黒人市民。鉄条網をイメージしたタイトル。暴動のニュース映像。音楽に込められた想い。そのすべてが心を揺さぶった。 Sun City 作詞・作曲:Steven Van Zandt 発売:1985年(昭和60年)10月25日
2016.01.28
VIDEO
YouTube / Vyan00
Information