2月25日

夏のノースリーブ考察、ネーナとパティ・スミスとロックンロール!

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ネーナのシングル「ロックバルーンは99」が日本でリリースされた日
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今年の夏もそろそろ終幕。皆様さぞかし思い思いの夏を過ごされたことかと思います。
お祭りとか、花火とか… 個人的にはこういった自分に縁の無いイベントばかりなので正直好きなシーズンではないのですが(暑いのも人混みも嫌い)、でもそんな夏も悪くないな、と思わせてくれる夏の風物詩が、薄着で街を歩く女性達。

特にノースリーブの似合う女性は最高で、発明したデザイナーはホント天才だなと思う。あれは女の色気を最大限に引き出した完璧なパターンなのです。あの袖口から見える華奢な二の腕とか眺めながら、あれで肌が白かったらもっと素敵。

あーこのお姉さんせっかく清楚なんだからタンクトップよりシャツのほうが昭和っぽくてもっと素敵なのに惜しいなとか、まあそんなことを考えながら暑苦しい街中を歩いてるわけです。

とはいえ、日本におけるノースリーブ率はまだまだ低い。女性的にはやはり若干勇気のいるファッションには変わりないですので。それに比べて外国人女性はどんな体形であれ(失礼)臆することなくノースリーブを着て堂々と歩いているから、なんか無為自然って感じで生を謳歌してるよなあとか思わせる。要は周りを気にしない自信の現れなのかもしれない。

… と、こんなふうに夏のノースリーブ考察をしてると、つい脳内をループし始める曲がある。それが… ネーナの「ロックバルーンは99」である。西ドイツからこれ一曲で世界のチャートをモノにした最初のロックバンド、今でもれっきとした反戦歌としてヨーロッパでは定着しているのに、世代の方ならお分かりであろう… そう、日本ではヴォーカルのネーナが MV やテレビ番組で見せた「脇毛」の衝撃のせいで、ある意味今日まで忘れられることのなかった名曲であります。

当時、ネーナの脇毛が日本のみでなく世界の広い文化圏にもたらした衝撃は大きかったようで、これがアメリカやイギリスじゃなく西ドイツのバンドが初めて世界でヒットを飛ばしたという新鮮さも手伝って「ドイツ人って脇毛剃らないんだ!」というカルチャーショックとして記憶に刻まれた方も多かったことと思います。

もちろん私はリアルタイムでこの MV を見たわけではないので、後から知って当時の少年たちと同様の衝撃を受けました。受けたは受けたんですが、しかし同時に “なんかカッコいい” と思ったのも事実。なにせ女の脇毛なんて特に我々日本人にとっては第二のデリケートゾーン、そこがすくすく生い茂ってなぞいた時には、その女への幻想は(一部の男性を除いて)たちまち打ち砕かれるという脅威なのだから(笑)。

それに80年代の欧米と言えど、実は体毛処理への観念が日本と大きく違っていたわけではなく、やはり処理しない派のほうがマイノリティであったらしいのだ(日本のように当たり前のエチケットではなくとも)。

なのにわざわざ脇を強調した MV で、これ見よがしに見せつけて来るなんて、絶対何かのメッセージがあるに違いない。… と、その昔に YouTube を観ながらそんなことを思ってたのです。

これ見よがしの脇毛と言えば、もう一人思い出すのがパティ・スミス。当時ニューヨーク・パンクの母と敬われた彼女の率いたバンド、パティ・スミス・グループのアルバム『イースター』(1978)のジャケにおける被写体の中心は、もはや彼女の脇毛のほうだ。

まあ70年代に入りラブ&ピースの浮世も終わって、混沌の時代のさなかに現れた彼女の存在は分かりやすく女権拡張主義のアイコンっぽかった。

それにあの哲学的で難しすぎる詞世界も相まって、その後のロックにおける女性たちがより逞しく主義主張できる流れを作ってくださったという点で、やっぱりこの方はゴッドマザーだったんだな、というのが実に分かりやすく見て取れるジャケットです。それがこの脇毛なんです。男に、体制に媚びない主張としての、ロックンロールな脇毛。

手を加えず自然のままに、という意味では女性が脇毛を処理しないスタイルはヒッピー文化にも当てはまります。


ここで話をネーナに戻すと、はたして彼女の脇毛のルーツはどちらだったのか?

おそらく、どちらだったのか? というのも愚問なんですが… と言うのも彼女の脇毛からは色んな推測の余地があると思うからです。いや、もしかしたら本当にパティ・スミスに憧れてただけなのかもしれないけど。

しかしその前にまず、皆さんお忘れかもしれませんが、この曲は反戦歌です(笑)。しかも世界的に核廃絶運動が盛んだったころ(その時流に乗ってのヒットもあったんだろう)、平和を意味する風船と戦闘機をなぞらえた、ちょっと皮肉な反戦歌。

こうして少し真面目にこの曲のことを考えると、彼女の脇毛からはそれこそラブ&ピース的スローガンとしてのスタイルも感じるし、それだけに捉われないロックンローラーとしてのアティチュードも垣間見えるのだ。

だから青春時代の MTV によって女性の脇毛トラウマを植え付けられた(笑)かつての少年たちに言いたいのは、皆さんがカルチャーショックを受けた可愛い顔したネーナのあの脇毛は、おそらく単なる文化の違いによるものではなかったんじゃないかってこと。

そう考えると、あの脇にはきっともっと深い、ピースな願いと女性ロックンローラーのプライドが込められていたのではないだろうか。

だからもし、これから、女の子のノースリーブからすごくナチュラルなアレが見えちゃった… なんてことがあっても、どうかガッカリしないで欲しい。女性の脇には色んな形のアティチュードがあるのだから… それも強い女の。でもまあ、この日本でそんな女性が増え始めるなんて風潮、地球が続く限り来ることはないんじゃないかな(笑)。

2019.09.04
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  YouTube / NENA


  YouTube / Patti Smith
 

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カタリベ
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