ふと思うことがあって、3年前からその年ごとのテーマソングを決めています。それまではずーっとストーンズの「スタート・ミー・アップ」で、特に深い理由はないんですけど、何となく新しい年の初めに聴くと元気が出るから。新年の幕開けに相応しい感じがしませんか?
まあそれはいいとして、過去3年はこんな感じ。あ、その年を占うとか、時代を象徴する曲とかではないですよ。あくまでも自分にとってのテーマソング、主観的な話です。
2015年:
ライク・ア・ローリング・ストーン / ボブ・ディラン
2016年:
ロード・ワーク / ビル・コンティ
2017年:
リメンバー・ロックンロール・レディオ / ラモーンズ
2016年のそれは映画「ロッキー」のサントラに入っているもので、原題は「Going The Distance」。ロッキーがトレーニングしてるシーンでよくかかる、過剰なまでにドラマティックな曲ですね(笑)。
こうやって並べてみると、なんか自己陶酔型というか、すごく小っ恥ずかしいんですけど、まあ、決めてしまったものは仕方がない。そんなこんなで3年やってきて、さあ今年は何にしようかというわけです。
ただ、それは熟考して決めるというより、そのタイミングで心に引っかかっている曲のウエイトがどんどん大きくなっていって、最終的にポーンと飛び出てくる感じですかね。だからなんだかんだ言っても、自分の気持ちに寄り添うような曲になっている気がします。
そういった意味において、今年飛び出てきた曲はコレ。やっと80年代ライクな作品の登場です。
2018年:
スウィート・ドリームス / ユーリズミックス
ご存じ、アニー・レノックスとデイヴ・スチュワートによって結成されたイギリスの男女ユニット、ユーリズミックスの曲で、いまからちょうど35年前 ー 1983年の1月に発表されています。
その後、ブリティッシュ・インヴェイジョンの波に乗ってビルボードのシングルチャートでも1位を獲得した特大ヒット。これぞまさにエイティーズ、と言えるサウンドではあるのですが、この2018年においても全く古さを感じさせない、かなり異質な曲でもあるのです。
この点に関しては、カタリベの宮井章裕さんも同じことを仰っているので、ぜひこちらの記事
ユーリズミックスの異質性 ー 暗く、美しい「スウィート・ドリームス」 を読んでみてください。
ーー時間という試練に耐え抜き、いまなお色褪せない理由は一体どこにあるのでしょう? 今日はその歌詞にも触れつつ「スウィート・ドリームス」の普遍性を探ってみたいと思います。
この曲、シンプルな歌詞であるがゆえに、様々な解釈を生みつつも、それが普遍性を持ち得た大きな要因だったのかもしれません。簡単な英語は日本語に訳すのが難しいのですが、思い切って全文を意訳してみました。
甘い夢はコレでできている
そんなふうに言われてもね…
世界じゅうを旅して分かったことは
みんな何かを探している
利用したがる人もいる
利用されたがる人もいる
虐げたがる人もいれば
虐げられたがる人もいる
顔を上げて そのまま
前に進むのよ
その昔、吉田美奈子が山下達郎に書いていた歌詞に似てるなあ… なんてことを思いながら訳していたのですが、ユーリズミックスの2人も盟友といいますか、ソウルメイトのような関係なのでしょうね。
さてさて、サウンド面においては不気味なシンセ音に包まれ、マイナーコードを使いまくった「スウィート・ドリームス」。その上で、直感的なメッセージを硬質かつソウルフルに歌うアニー・レノックス。言い換えると、
不安を抱えながらも新しい世界に挑もうとする人間の強い意志。そう、そんなユーリズミックスの
「並々ならぬ決意」を大勢の人が感じとったのではないでしょうか。
Hold your head up,
movin' on
Keep your head up,
movin' on
Hold your head up,
movin' on
Keep your head up,
movin' on
皆さんにとって2018年が素晴らしい1年でありますように。
2018.01.02