2月18日
反骨の炎「ときめきに死す」は静の旋律、主演映画にみる沢田研二の肖像
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森田芳光監督作品「ときめきに死す」が劇場公開された日
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photo:natalie  

主演映画で沢田研二が魅力的に映るのは、やはり時の権力・権威・時代の風潮などに抗う姿であると私は思う。

単独主演第一作は『炎の肖像』(1974年)。この作品はライブ映像や本人のインタビューのほか、ドラマパートで構成されている。現実と虚構を交差させながら生身の沢田研二を表現し、沢田は自身の分身ともいえるジュリーというロック歌手を演じる。

初っ端から荒っぽく下卑た台詞、喧嘩で血塗れの姿、激しいベッドシーンと脱アイドルを意識した作り。80年代に花開く映画スター・沢田研二の原点と言える演技がぎっしり詰め込まれていて興味深い。

人が行き交う路上を歩いているジュリーが、突然「俺はジュリーや!」と叫ぶ場面が印象的。隠しカメラでゲリラ撮影され、通りすがりの人々が反応する様を同時にドキュメンタリー手法で切り取っているのだが「俺は王子様でもお行儀の良いアイドルでも何でもない。俺は俺、ジュリーや!」そんな叫び声が聞こえてくるようだ。

そして、その後もジュリーは自身の分身ともいえる主人公を次々と演じていく。自家製原爆を作って政府を脅迫する中学の理科教師を演じた『太陽を盗んだ男』(1979年)。角川映画『魔界転生』(1981年)ではキリシタンを大量虐殺した徳川政権に恨みを持ち幕府転覆を企む天草四郎時貞。そう、演じる男はすべて抜身の刀のような男たち。たぎる反骨の炎を胸に秘めている。

そんなジュリー映画の中で私が一番気に入っているのが『ときめきに死す』(1984年)。今作で演じる主人公は、強大な権力を持つ教祖の暗殺を指令されている殺し屋。毎日必要最小限の会話だけ。目的を達成するために酒も煙草も嗜まず、黙々とトレーニングに励むストイックな男。他の作品とちょっと違うのは、主人公が子供の心のまま、大人になってしまったこと。

少年性を内包するジュリーの無垢な演技。その不思議な透明感に一気に持っていかれる。それまでの作品の役柄が「動」ならば、この作品で演じる殺し屋は「静」と言えるだろう。抜身の刀という意味では共通しているかもしれない。

そして、そこにジャズミュージシャンとして知られる作曲家・塩村修の音楽がメインテーマとして流れる。近未来をイメージしているのだろうか。無機的なのにどこか温かみを感じさせる不思議な旋律がジュリーの美しさを尚一層引き立てる。


ときめきに死す
監督:森田芳光
音楽:塩村修(別名・塩村宰)
公開日:1984年(昭和59年)2月18日

2016.09.11
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