11月10日

中森明菜の最大ヒット「セカンド・ラブ」歌と真正面から向き合う真摯なプロ魂

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中森明菜のサードシングル「セカンド・ラブ」がリリースされた日
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photo:Warner Music Japan  

自身最大のヒット! 中森明菜「セカンド・ラブ」


中森明菜といえば、一般的には、非凡な表現力で圧倒的な存在感を放った「飾りじゃないのよ涙は」(1984年)、レコード大賞2年連続受賞となった「ミ・アモーレ」(1985年)「DESIRE」(1986年)など文字通り80年代半ばの各年を代表する派手な曲を歌うイメージが強いはずだ。

しかし、明菜ファンには周知の事実、彼女の最大のヒット曲はバラード「セカンド・ラブ」だ。「1/2の神話」(1983年)とタイ記録になる6週(不)連続オリコン1位を獲得、約80万枚という自身最大のセールス、TBS『ザ・ベストテン』でのやはり自己最高となる8週連続1位の数字がその事実を裏付ける(「セカンド・ラブは1982年~1983年に股かけなければ各年間チャート上位も必至だったと言われている)。

サードシングルは、来生えつこ×来生たかおによるスローバラード


中森明菜の初期代名詞にして危ういティーンネイジャーの気持ちを8ビートに乗せその名を轟かせたセカンドシングル「少女A」(1982年)。

このブレイクで彼女のファンになった多くのリスナーはその次のシングルとしてツッパリ路線の続編を期待。さらなるギター全開のロック調の楽曲が予想されるなかで、デビュー曲「スローモーション」と同じく来生えつこ・来生たかお姉弟の作詞・作曲によるスローバラード「セカンド・ラブ」がサードシングルとして発表された。

意表を突くこの判断(もしくは戦略)は、結果、大英断として以降の彼女の音楽活動をより豊かなものにしていく。

1曲ごとにスローバラードとアップテンポなシングルを交互に出す初期展開は、リスナーを飽きさせない制作側の戦略以上に、中森明菜というシンガーとしての潜在能力を引き出すことと心象風景の具現化にも成功している。

曲の出来上がりに深く感動、大切に歌った「セカンド・ラブ」


 つれてって 時間ごと

初々しく心が張り裂けそうな歌声。そこにはどんなに強がっていても2度目の恋の前にどこか臆病になるまだまだ幼い少女Aがいた。

「(ここまでの)シングル3曲はひとりの女の子の1年間を描いているんです」
(『ザ・ベストテン』1982年12月2日放送より)

素直に好きと言えないもどかしさ。「セカンド・ラブ」で来生えつこが紡いだ言葉の数々を包み込んだ来生たかおの優しいメロディ、クラシカルな要素で繊細なアプローチをみせた萩田光雄のアレンジは、ティーンネイジャー特有の揺れる心情を物語るには充分過ぎるほどだった。

曲の出来上がりに深く感動し、かけがえなのない楽曲として中森明菜は「セカンド・ラブ」を大切に歌った。

 せつなさはモノローグ 胸の中

歌番組では時おり震えながら歌う姿が多くのリスナーの心を捉え、ひたむきな歌唱のなかに流行のアイドル歌手以上の何かを見出した頃、「セカンド・ラブ」は同世代女性リスナーも支持を得てその冬を代表するラブソングとして1982年を越そうとしていた。

プロとして、「セカンド・ラブ」の最初のファンのひとりとして流した涙


1983年1月13日、木曜日、午後9時45分、TBS『ザ・ベストテン』。5週目の1位を獲得した「セカンド・ラブ」を歌う中森明菜。

この日は明らかに体調が悪いようで思うように声が出ていない。時おり少し苦しそうだ。目も潤んでいる。何とか歌い終え苦笑いしながら深く頭をさげる。CM明けには、出演者が座るソファの端で涙を拭く彼女が映し出される。

納得いかなかったのだろう。歌う直前に来生たかおの電話出演があり、風邪で喉を痛めたことを労う言葉があっただけに余計に申し訳なく悔しかったのだろう。カメラの前で歌うプロとして、「セカンド・ラブ」の最初のファンのひとりとして。

今でも「セカンド・ラブ」の歌声を聞くと『ザ・ベストテン』の中森明菜の涙を想い出す。歌と真正面から向き合う真摯な姿と17歳の「とまどうばかりの私」がブラウン管の中にいた。

周知、中森明菜の10代の物語はこの後、半分だけ大人の真似をして階段を昇るロックな「1/2の神話」を経て、素直になれた愛の告白バラード「トワイライト - 夕暮れ便り -」(作詞:来生えつこ、作曲:来生たかお、編曲:萩田光雄)へと辿り続いていく……。


※2021年5月3日に掲載された記事をアップデート

2021.06.27
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カタリベ
1970年生まれ
安川達也
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