Vacation のスペルは子供の頃に弘田三枝子から教わった。「ヴイ・エー・シー・エー・ティアオエーヌ、楽しいな!」って歌詞で始まるコニー・フランシスのカヴァーソング。
そして、その発音が「ヴェイケイション」であるということはL.A.発のガールズバンド、ゴーゴーズから教わった。
1982年、夏の出来事である。
奇しくも前年の3月、大滝詠一の『A LONG VACATION』がリリースされ、今では考えられないロングヒットを続けていた。
読み方は当然「ロング・バケーション」、通称「ロンバケ」だ。そんなこともあって、Vacation は当然バケーションでありヴェイケイションと読むなんて想像すらしなかった。
当時高校生だった僕にとって、バケーションのほうは背伸びするような大人の感覚を味わわせてくれたが、ヴェイケイションのほうはアメリカ西海岸への憧れを強烈に募らせた。
だいたいにおいて、LP のジャケットがド派手。ゴーゴーズのメンバーがピンクの水着にバレリーナのようなフリルをつけて、真っ青な海で水上スキーやってるんだから。
しかも全員カメラ目線で「ハーイ♡! 楽しんでるぅ?」とでも言わんばかりに手を振っている。色使いも含め、この躍動感というか爽快感というか突き抜けた感じは、田舎の高校生だった僕にとって眩しすぎるくらいキラキラしていた。
何と言っても曲が本当にカッコイイ!
きらびやかなシンセのリフ、コードをかき鳴らすディストーションギター、そしてたたみかけるようなドラミング、Vacation のイントロにはロックンロールのエッセンスがギュッと詰まっていた。
歌の内容は曲のノリに反してかなり乙女チックなんだけれど、そのアンバランスさというか、イケイケじゃない普通の女の子のような歌詞が、アメリカに対する憧れと同時にアメリカとの距離を一歩縮めたような気もする。
当時はロックなんてまだまだマイナーな存在、ノーランズのようなガールグループはいたけれど、女性バンドってのは無かったんじゃないかな。デボラ・ハリーのブロンディとも違って健康的なイメージだったし。
ただ、そうは言ってもそこは生き馬の目を抜く芸能界。爽やかなイメージとは裏腹に、メンバーのアル中やシャブ中が問題となってバンドは85年に解散してしまいましたが。
その後、ヴォーカルのベリンダ・カーライルはソロへ転向し「ヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アース」で全米ナンバーワンを獲得!
ゴーゴーズのほうも紆余曲折を経ながら、今夏(2018年)に40周年を記念してリユニオン・ツアーを開催したようですね!
誰か日本に呼んでくれないかなあ。
※2016年7月24日 に掲載された記事をアップデート
2018.08.17
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