1992年2月、ニルヴァーナ初来日公演@クラブチッタ川崎
もうそれは真実なのか記憶違いなのか妄想なのか、人の記憶なんてものは曖昧なものだけど、あのとき感じた熱気みたいなものは今でも残っています。「オレも観てたけど、そんなんじゃなかったぞ」なんて反応があったら面白いですよね。
というわけで、自慢も兼ねて、ニルヴァーナの来日公演。高校1年の頃の話です。
ニルヴァーナを初めて知ったのは TVK(テレビ神奈川)、伊藤政則氏の番組で流れた「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」の PV だったかな。『ネヴァーマインド』が全米チャートを駆け上がり… みたいなそんな感じの頃。
当時メタルキッズだった僕には、なんとなく違和感がありつつも、妙に気になったのを覚えています。悩んだあげく(高校生にとって5,500円のチケット代はなかなか重たいですからね)チケットを取ったのは確か1週間くらい前だったはず。
その記憶が確かなら、今からすれば信じられないけれど、クラブチッタ川崎(当時はキャパ500人くらいですか?)で、1週間前までチケットが残っていたということになります。
伝説のロックアイコン、カート・コバーンはパジャマだった
そして僕が覚えているのは、カート・コバーンがパジャマだったこと、大体ぜんぶ同じ曲に聞こえたこと、最後の曲が 「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」だったこと、フィードバックをさせたままステージを去ったこと。
今にしてみれば “伝説” の来日公演とはそんなものなのかもしれない。だって、あたり前だけれど、あのとき、カートがシド・ヴィシャスになぞられたロックアイコンになって、アルバムが何千万枚も売れて、僕らの世代の苦悩の代弁者なんて言われて、2年後の4月5日に頭を撃ちぬいて死んじゃうなんて、知らなかったから。
ロックの歴史的瞬間なんて、そんなありがたいものじゃなくて、ポッと出の数多あるロックバンドの来日公演で、またすぐに観れると思ってた。カートがいなくなっちゃうってわかってたら、もっとちゃん観てたのにね。
特別な、人生を変えてしまうような素晴らしい音楽との出会い
音楽との出会いって不思議なものです。たぶん、きっと今も、特別な、人生を変えてしまうような素晴らしい音楽は生まれていて、いいこともあるし悲しいこともあるんだけど、その音楽に出会えることは、やっぱりかけがえないことなんだと思います。
掘り出したチケットの半券を見ると、ニルヴァーナの5日後には、当時絶頂を極めていたガンズ・アンド・ローゼズを東京ドームで観ていました
(※『回想ライブレビュー:ガンズ・アンド・ローゼズ、熱病のようなあの興奮』を参照)。なんて贅沢な時代だったんだろう。
※2016年1月9日に掲載された記事をアップデート
2020.02.17