3月16日

初めてのエイティーズ体験、15の朝は甘酸っぱいカフェ・ブリュの恋

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スタイル・カウンシルのファーストアルバム「カフェ・ブリュ」がリリースされた日
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photo:paulweller.com  

ゼロ年代後半、都内の男子高校に通っていた僕は、「他のクラスメイトとは違うんだ!」などと思いながら「古い」洋楽ばかり聴いていた。僕の通学圏内には、渋谷・原宿・新宿があり、タワレコ・ユニオン・レコファン... 情報には事欠かなかった。ブリティッシュ・ビートやパンクを愛聴していた僕が、ザ・ジャムの魅力に取り憑かれたのは必然で、ウェラーの熱気に憧れた僕は、彼がザ・ジャム解散後「オシャレ路線」に移ったことが理解できず、半ば貶していた。

家から駅まで徒歩で通っていた僕は、毎朝会うある女の子に「勝手に」恋をした。横浜のお嬢様女子校に通う子だった。男子校に通う僕は、会話にも詰まるウブなヤツだった。毎朝、その子の通る時に合わせて家を出た。駅までは10分弱。乗る電車は反対方向。それでも、15歳の僕には毎朝の「デート」が楽しみで仕方なかった。制服や髪型をなんとかモッズ風にアレンジしたり、朝起きることがこれほど楽しかったことはなかった。

鏡の前に立って、その日のフィーリングを整える為、いつもBGMをかけていた。「彼女」が出来てから突然、キライだったスタイル・カウンシルを聴いてみようという気になった。手にしたのはファーストアルバム ”カフェ・ブリュ” だった。

朝の空気が洗われるようだった。これが「恋の音楽」かぁなどと思いつつ、彼女が家の前を通る時間を気にしながら、僕はウェラーの、そして「モッズの深いところ=ソウルやR&Bへの志向」をも学んだ。歌詞の政治性を感じるには幼すぎた。ただ ”Headstart For Happiness” の甘酸っぱさに酔いしれた。放課後、カフェに出入りし始め、ウキウキしながらiPodに入れたこのアルバムを何度も聴いていた。それは、後追い世代の僕が意識的に聴いた、初めての「80年代の」音楽だった。

「彼女」とのデートは1年弱で終わった。不器用な僕は彼女から見れば子どもだった。風の噂に彼女の結婚を今年知った。苦く甘酸っぱい思い出を湛えたこのアルバムを、僕は無意識のうちに聴いていた。


Café Bleu / The Style Council 
発売日 1984年(昭和59年)3月16日

2016.04.03
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  YouTube / inshreds66
 

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1961年生まれ
ミウラ
いい話だあ。こういった「勝手にデート気分」は、年齢に関係なく、経験するものなんですねえ
2016/04/05 13:57
1
返信
1968年生まれ
親王塚 リカ
放課後にiPodでスタカンを聴くだなんて! ちょっと羨ましくなりましたw
2016/04/03 08:59
1
返信
1965年生まれ
高野 悠
あー、スタカン、久しぶりに聴きました。懐かしすぎ。あの時代、確かに洒落てた。
2016/04/03 06:01
1
返信
カタリベ
1991年生まれ
 白石・しゅーげ
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