1985年、メイキン・タイムのデビュー・アルバム『リズム&ソウル』が日本でリリースされた……と言っても、記憶している人は圧倒的に少数派だろう。自分も当時はロッキンオンの広告で見かけた……という程度の認識。10年後、このレコードを血眼になって探すことになるとは思ってもいなかった。
メイキン・タイムは1980年代の英ネオモッズ・シーンの流れから出てきたバンドで、オリジナル・アルバム2枚とライブ盤1枚、コンピ盤1枚を残して88年に解散。しかし、90年代半ばに起こったネオモッズの再評価により、ちょっと脚光を浴びる。自分が初めて耳にしたのもこの頃で、名曲『ヒア・イズ・マイ・ナンバー』を耳にしてブッ飛んだ。これは即、手に入れないと! レコードで!!
しかし、これが予想外の長旅に。なにしろ『リズム&ソウル』は売れなかったので中古盤の流通数が少ない。UK盤を一度見かけたが7千円近い想定外の値段に二の足を踏み、それでも買おうと思ったときにはすでに売れていた。レコ屋のおじさんの話では、国内盤アルバムは帯付きで1万円弱、すでに廃盤の国内盤CDでも5千円くらいが相場だという。それも入荷すればの話、だ。あああ、なんで10代の時、買っておかなかったんだ……
コレクターならだれでも一度は思うことだが、本気でタイムスリップしたいと思った。なので渋谷の某店で、6千円で帯付き国内盤を見つけた時は即買い。モータウンのエッセンスを80年代的メリハリ・ビートで消化した最高のダンス・ミュージック。このアルバムは今でも愛聴盤だ。
ちなみにベーシスト、マーティン・ブラントはその後シャーラタンズの一員として一時代を築き、現在も活動中。女性Vo.のフェイ・ハラムは昨年ボサノバ・アルバムをリリースして健在をアピール。そして自分は今年2月に御茶ノ水の中古店で『リズム&ソウル』の国内盤・帯付き美品を見かけたが、ほぼ定価の2,500円で売られていた。
2016.06.07
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