僕はギターが弾けない。これは、大変なコンプレックスである。中学生の時、ザ・フーのピート・タウンゼントに憧れて廉価版のSGを買った(本当はリッケンバッカーが欲しかったのだけれど…)。しかし買ったは良いものの、もともと不器用な僕である。コードをかき鳴らすぐらいのことしかできないのだ。ペンタトニックとやらがよくわからずもどかしさのあまり、ピートよろしく叩き割ってやろうかと思ったほどである。
そんな僕にもギターヒーローがいる。彼らみたいに弾けたらなぁと思うのだが、そうは問屋が卸さない。一般に少年にギターを持たせるヒーローは、ジミー・ペイジかエリック・クラプトンか、それともキース・リチャーズか。しかし「ひねくれ上等!」で生きてきた僕の三大ギターヒーローは、ピート・タウンゼントとジョニー・マー、それからマーク・ノップラーである。
マーク・ノップラー率いるダイアー・ストレイツに心酔したのは、偶然手に取った彼らの4枚目のライブアルバム『アルケミー』を聴いてからであった(初体験が世界中で売れに売れた『ブラザーズ・イン・アームス』でなかったのもひねくれポイントだ!)。ピックを使わず繊細なフレーズをギターに「歌わせる」彼の演奏法は、その無愛想な歌唱法と相まって実に哀愁深く感じられた。
そして、「どこかでこんなギターのフレーズを聴いたことがあるなぁ」と思い色々調べたところ、大好きなボブ・ディランのアルバム『インフィデル』でギターを弾いていた人と分かり、妙に納得したものだ。そしてカントリーに根ざしたそのギター・スタイルは、僕にチェット・アトキンスやアルバート・リーに目を向けさせてくれた。
ロブ・ライナーのラブコメディ映画『プリンセス・ブライド・ストーリー』(素晴らしく面白いのでオススメです)のサントラや、アズテック・カメラのアルバムプロデュースなど多岐にわたる活躍をしている割には、彼の日本での評価が低いのが残念だ。
しかし相変わらずニューオーダーのバーナード・サムナー程度のギターしか弾けない僕にとって、彼は永遠のヒーローなのだ。
2016.08.21
YouTube / DireStraitsVEVO
YouTube / TwistedKingdom74
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