初めて買ったピー音入りのレコードはアナーキーの1stアルバム「アナーキー」だった。ピー音というより「ブー」というブザー音なのでちょっと笑ってしまうのだが、初めてレコードでこの「ブー」を聴いた時は「え? 今、何を消した?」と歌詞カード見て拍子抜けした。「この言葉がダメなのか?」と。当時の僕にとって放送禁止用語といえば「チ○○コ」や「オ○○コ」などのカタカナになぜか限られていた。ところが、アナーキーが消された歌詞はすべて漢字だったのだ。
「東京イズバーニング」
なーにが日本の(ブー)だ なんにもしねーでふざけるな
苦労もしねえでウメボシ(ブー)
「アナーキー」
俺達ゃこんな汚ねぇ(ブー)をぶっつぶしたいのさ
あんたをしばる(ブー)なんてけっとばしちまえ
ここ消すか? 消せば分からなくなるのか? なんだか中途半端なブザーの入れ方だなと疑問に思っていた。現在入手できる音源では「東京イズバーニング」はブザーどころか1曲丸ごと収録されていない。消されたのか自粛したのか、どっちにしろこの曲が入っていないとこのアルバムの魅力が半減しているようで残念だ。
このアルバムは全14曲中6曲がカバー曲だ。チャック・ベリー、クラッシュ(3曲)、スティッフ・リトル・フィンガーズ、イーターのカバー、と言っても替え歌と言った方がいい。上の2曲もクラッシュ(ロンドン・イズ・バーニングとセーフ・ヨーロピアン・ホーム)の替え歌で、さすがにアルバムの半分近くが替え歌となるとそれでいいのか? とも思えてくる。いま聴くと恥ずかしくなる歌詞が満載なんだけど、僕はこの歌詞と仲野茂の声に惹かれた。これを恥ずかしいと思うのは老いた証拠だな。
当時、ツッパリ系の友達がこのアルバムを聞きたがりよく貸し出していた。ある日、ゴンジ(←ツッパリ)がアルバムを返してくれた時のこと。
ゴンジ:こいつら格好い〜よなぁ。
あの「日本のブー」ってところはなんて言ってんだ?
僕 :日本の象徴だろ
ゴンジ:おまえ詳しいな
僕 :誰でもわかるだろ
ゴンジ:そうか? 俺は分からなかったけどな。
で、日本の象徴ってなんのことだ?
僕 :おまえにブザーは必要なかったな
2017.03.01
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