2022年 9月21日

ボーカリスト河合奈保子を伝えたい!世代を超えて評価されるべき5つのアルバム

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河合奈保子のアルバム「Masaaki Omura Works〜大村雅朗作品集〜」発売日
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幅広い世代に支持されている河合奈保子


先日、『今こそもっと再評価!河合奈保子がZ世代はじめ老若男女から支持される4つの理由』というコラムを書かせていただいたのだが、それは、「80年代アイドル総選挙」の第5位という結果からも、彼女が幅広い世代に支持されている理由がわかる。

ただ、いろんな人に「河合奈保子の曲で何知ってる?」と聞くと、映画『すずめの戸締まり』の中で使われた「けんかをやめて」か、初めてオリコンシングルチャートでTOP10にランクインした「スマイル・フォー・ミー」のどちらかを答える人がほとんどだ。

確かに、最近テレビでよく見かける「昭和歌謡やアイドルを懐かしむ番組」でVTRが流れるのはたいていこの2曲だ。他に挙げられる曲としては、奈保子のハツラツとした明るさが炸裂する「夏のヒロイン」ぐらいだろうか。彼女にとっての最大ヒット曲「エスカレーション」を挙げる人は意外に少ないし、挙げたとしてもタイトルが出てこないか間違って(「イマジネーション」とか「コミュニケーション」とか)答える場合がほとんどだったりする。

なぜあれほどの歌唱力を持った人が、その楽曲をまともに評価されないのか。「何でも器用に歌いこなすから逆に耳に引っかからないんだよな〜」なんてことを言う友人もいたが、長年のファンとしてはやはりモヤモヤしてしまう。

サブスクでも聴ける河合奈保子おすすめアルバム5選


昨年9月にリリースされたCD『Masaaki Omura Works~大村雅朗作品集~』によって、作品のレベルの高さがようやく認知されてきた気はするが、まだまだ足りない。それに、同時期に活躍していた松田聖子や中森明菜などはシングルだけでなくアルバムも高い評価を受けているのに、奈保子のアルバムが語られることはほぼないのだ。

そこで、河合奈保子がリリースしたアルバムの中から、私がオススメするものを5枚選んでみた。サブスク配信もされているので、シングルでしか河合奈保子の曲を知らないという方は、この機会にぜひ聴いてみていただきたい。

「けんかをやめて」収録。オリコンチャートで1位を獲得


■ あるばむ
1983年1月21日リリース
竹内まりや作詞・作曲による「けんかをやめて」「Invitation」収録。オリコンLPチャートで初めて1位を獲得したアルバムで、奈保子入門編と言っても良い作品。前半5曲は竹内まりやと林哲司によるもの。シングルの2曲以外にも、弾けるような明るさがかわいい「ダブル・デイト」や、片思いの彼を一途に追いかける「追跡」など、女の子の素直な気持ちを表現した曲を楽しむことができる。

後半5曲は来生えつこ・たかお姉弟による作品。来生たかおのカヴァー「浅い夢」をはじめ、前半とは違う、大人っぽくしっとりとした雰囲気。恋人と一緒に過ごす時間をあれこれと想像する「ささやかなイマジネーション」は、ゆったりと流れる奈保子のヴォーカルが実に心地よい。



筒美京平サウンドの扉を開いた奈保子、ディスコ調の曲にもチャレンジ


■ SKY PARK
1983年6月1日リリース
A面は全て筒美京平作曲、B面は全て石川優子作詞・作曲によるもの。シングルA面曲が1曲も収録されていない時点で制作側の自信のほどが窺える。A面では筒美京平サウンドの扉を初めて開いた奈保子が、それまでにはなかった16ビートのディスコ調の曲にもチャレンジするなど、新しい奈保子を楽しむことができる。B面では奈保子の素直なキャラクターはもちろん、彼女の音楽性と表現力の高さを活かした作品で構成されている。ラストの「Sky Park」は優しい雰囲気のスローなナンバーで、ファンの間でも非常に人気が高い。



ヨーロッパを舞台にした表現力豊かな歌声


■ さよなら物語-THE LAST SCENE and AFTER
1984年12月5日リリース
ヨーロッパを舞台にした別れを表現した作品で構成されたアルバム。すべての作品を作詞: 売野雅勇、作曲: 筒美京平、編曲: 矢島賢・矢島マキが手掛けている。フェアライトCMIを駆使して制作されているが、研ぎ澄まされたアレンジと奈保子の表現力豊かな歌声によって、デジタル感はさほど感じない。

1984年は忙しいスケジュールの中でオリジナルアルバムを3枚リリースしており、最後にリリースされたこのアルバムは、当時売上枚数としては苦戦した。しかし、ファンからのCD再販の要望が高かったことからも、愛聴されていたことがわかる。どの曲も完成度が高いが、個人的には軽快なメロディの中にも切なさが伝わってくる「海岸道路N2 -BARCELONA SENTIMENTAL-」がイチオシ曲。



スティーヴ・ルカサーとのデュエットも収録


■ 9 1/2(ナインハーフ)
1985年12月12日リリース
1984年の『DAYDREAM COAST』に続く2枚目のロサンゼルス録音。前作よりさらにAOR色が強い。奈保子も海外レコーディングに慣れてきたのか、英語の歌詞も以前より滑らかに歌っている印象。デヴィッド・フォスターなどの一流ミュージシャンが携わっていることや、TOTOのスティーヴ・ルカサーとのデュエットがあるなど、単なるアイドルの海外録音盤として片付けるには惜しい1枚。個人的にはファルセットが美しい「星になるまで~NIGHT AFTER NIGHT〜」がイチオシ曲。



ミッキー吉野プロデュース、歌の表現力がさらにレベルアップ


■ Calling You…呼び寄せられて…
1989年11月21日リリース
ミッキー吉野プロデュースによる作品。自作曲を発表し始めたあたりの作品は素直なメロディのものが多かったが、このアルバムではトリッキーな構成の曲も出てきた。「河合奈保子はこんな曲も作るのか!」と驚く人も多いはず。

「ダンシング・グッドバイ」での強く突き放すような歌い方も、それまでの奈保子には見られなかったのでとても新鮮。初めてミュージカルの主演に挑戦していた頃で、歌の表現力がさらにレベルアップしているように感じる。この頃にリリースされた作品が取り上げられることはなかなかないのだが、埋もれさせるにはあまりにもったいない作品。




―― 以上、私がオススメするアルバムである。もちろん、これ以外のアルバムも非常にレベルの高い作品ばかりなので、これを機会にたくさんの奈保子作品に触れてほしい。そして、世代を超えてさらに高く評価されることを願う。

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2023.06.12
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カタリベ
1966年生まれ
綾小路ししゃも
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