2023年 7月12日

今こそもっと再評価!河合奈保子がZ世代はじめ老若男女から支持される4つの理由

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河合奈保子のアルバム「Masao Urino Works〜売野雅勇作品集〜」発売日
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6月1日は河合奈保子デビュー記念日、今年で43年


河合奈保子が「大きな森の小さなお家」でデビューしてから今年の6月1日で43年になる。当時月刊明星に載っていたビキニ姿を見たのがきっかけでファンになった私だが、健康的な笑顔が印象的なルックスだけではなく、その高い歌唱力や楽曲に惹かれ、彼女が音楽活動をしなくなった今でも、長年ファンを続けている。

昨年9月には大村雅朗が編曲で関わった楽曲を集めたCD『Masaaki Omura Works~大村雅朗作品集~』をリリース。また、7月12日には、河合奈保子『Masao Urino Works〜売野雅勇作品集〜』が発売される。このアルバムには売野雅勇が河合奈保子に提供した多くの作品の中から売野本人がセレクトした36曲が収録されている。

また、昨年11月に公開された映画『すずめの戸締まり』の中では竹内まりや作詞・作曲によるヒット曲「けんかをやめて」が使われるなど、各メディアで河合奈保子の名前を見ることが多く、ファンとしてはとても嬉しかった。

先日、Re:minder&昭和40年男&DJ BLUE 共同主催で行われた『80年代アイドル総選挙 ザ・ベスト100』という企画において、河合奈保子は総合順位5位だった。現在全く活動していないにもかかわらず、高い順位だったことにも驚いたが、そのとき年代別の投票結果を見てさらに驚いた。



なぜなら10代以下で2位、20代で4位と、彼女がアイドルとして活躍していた頃をリアルタイムで知らない世代からも高い評価を得ていたのだ。いったいなぜ奈保子が10代や20代も含めた幅広い世代に支持されているのだろう?

河合奈保子が幅広い世代に支持される理由とは?


昭和歌謡やシティ・ポップとともに、ここ数年クローズアップされるようになった80年代の女性アイドルだが、我々のようにリアルタイムでアイドルを応援していた世代だけでなく、このところ確かに10代・20代の若い世代も強い興味を示している。そんな中で、河合奈保子を支持している人々がどんなところに惹かれているのか、私なりにその理由を考えてみた。

①歌唱力の高さ
伸びやかな歌声、そしてどんな難曲でも歌いこなせる歌唱力の高さは、どの時代においても魅力的な要素のはず。

②楽曲の幅の広さ
デビュー当時の「大きな森の小さなお家」のようにメルヘンチックなアイドルポップから、「エスカレーション」「UNバランス」などの筒美京平作品に代表されるディスコ調のナンバー、「けんかをやめて」「ハーフムーン・セレナーデ」などのしっとりとしたバラードまで実に幅広い。

③作曲もこなす音楽的才能
作詞作曲をするアイドルは他にもいたが、シングル曲で自作曲をリリースしたのはおそらく彼女が初めて。また、全曲自作曲のアルバムをリリースし、日本作曲家協会の会員になったということからも、才能の高さが窺える。また、ピアノを習っていた経験があり楽譜が読めたことから、新曲のレコーディングがとてもスムーズだったという話も聞く。

④かわいらしいルックス
プロマイドやレコードジャケットなどで見せる彼女の笑顔はとてもキラキラしている。インターネットで彼女を検索すると、明るい表情の画像がたくさん出てくる。それらを見て「かわいい!」と思うのは、老若男女関係なく、そしてどの世代においても同じだろう。

以上、4点を河合奈保子が愛される支持する理由として挙げてみた。ただ、高い評価をされることはとても嬉しいことなのだが、リアルタイムで彼女を追っていた私の当時の印象として、当時の河合奈保子の人気やレコードセールスというのは、常にアイドルの中でも2番手かそれ以下だった。 

トップの位置に登ることができなかったのはなぜ?


たとえばデビューした1980年は、松田聖子、岩崎良美についで3番手、翌1981年は松田聖子に次いで2番手となるも、1982年には中森明菜の登場、その翌年は小泉今日子など他の1982年デビュー組の活躍により、なかなかトップの位置に登ることができなかったと思う。

80年代前半は他のアイドルのようにドラマや映画に出ることもなく、CMで曲が使われることもほとんどなかったことから、世間での奈保子の存在が、他のアイドルと比べるとどうしても薄くなっていたのは否めない。

アルバムにおいても、1984年の日本レコード大賞で優秀アルバム賞を受賞したロサンゼルス録音の『DAYDREAM COAST』など、質の高い作品が数多くあるのだが、当時は3ヶ月に1枚アルバムをリリースしていた時期もあり、ファンでさえ金銭的に追いつけなかった。これではなかなか作品が浸透せず、世間の評価になかなか結びつかなかったのではないかと思う。また、清純なルックスとはうらはらなグラマーな水着写真により、歌手として見てもらえなかったのではないかと感じたこともある。



しかし、当時を知らない若い世代はそんな状況を知るわけもなく、YouTubeやサブスクなどを通じてすべてのアイドルをフラットに見るわけで、そうなると「歌が上手く、幅広い作品を歌いこなし、自分で作曲までしてしまう、しかもルックスもかわいい」彼女が高い評価を受けてもおかしくはない。

当時デビューあたりからファンになった人は、「エスカレーション」や「唇のプライバシー」などの挑発路線に戸惑ったはずだし、後にシンガーソングライターとして活動するようになって、アイドルとして好きだったのに興味を抱けなくなった、と言って離れてしまった人もいた。

昨今の80年代アイドルブームによる再評価


若い世代の場合、その過程を順番に見るわけでなく、同時に全てに触れることができるので、戸惑うことも、失望することもなく、「ひとりでいろんなジャンルの曲を歌えるなんてスゴい歌手だ!」という評価になるのではないだろうか。

我々のようなリアルタイム世代は、昨今の80年代アイドルブームによって当時の奈保子の活躍を思い出し、改めてそのスゴさに気づいたことが、80年代アイドル総選挙の投票結果に結びついたのではないだろうか。

たくさんの80年代アイドルが活動を再開させたり、数々のテレビ番組に出演したりする機会が増える中、「今こそ奈保子に出てきてほしい!」と再活動を望む声は多い。もちろん、私もできるなら元気な姿を見たい。ただ、「あの人は今」的な扱いをされるくらいなら出てきてほしくはない。その前に当時の彼女の作品にたくさん触れてほしいし、今こそもっと評価してあげてほしいと思う。

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2023.05.31
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カタリベ
1966年生まれ
綾小路ししゃも
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