1982年、ジャパンは解散&ラストツアーを発表した。日本びいきのバンドらしく、ラストツアーはなんと日本。1963年生まれの私の姉は、ジャパンを思う気持ちが高まりすぎて、ラストツアーを追っかけるため、就職したばかりの会社をとっとと辞めた。両親はえらく怒ったが、そんなことはまったく意に介さず、あのときの姉はほんとうに楽しそうだった。 「彼らの警護は東京パトロールの伊丹さんっていうヒゲのおじさんでね、いつもこわいんだけど、たまに私たちにも優しいんだよ」 「デヴィッド・シルヴィアンの彼女は、ユカっていう日本人なの。前はミックの彼女でね、この人がジャパン解散の原因じゃないかって言われてる」 なんて裏話を、姉は私にしてくれたので、私もジャパンの素顔を知ったような気になったものだ。 たしかジャパンのラストライブは名古屋。「アンコール最後に何体もの着ぐるみが登場し、メンバー4人楽しそうで、すごくハッピーな最後だった」と、姉が語っていたのを覚えている。あのラストライブ着ぐるみ話は、姉以外の人からは聞いたことがない。ご存知の方はいるでしょうか? ジャパン以降、姉はロックミュージシャン追っかけ道を突き進み、数々のミュージシャンからサインをもらい、記念写真を撮ることに成功した。数年前、実家の押し入れ奥から、当時のサイン帳が見つかった。サイン帳の1ページめはジャパンのオープニングアクトをつとめたサンディー&サンセッツのサンディー、2ページめはサポートメンバーだった土屋正巳。ジャパンのメンバーのサインは、ミック・カーンのみだった。 さらに、ジョン・テイラー、ブライアン・フェリー、ボーイ・ジョージ、U2、エコバニ、バウハウスなど、80’sスターのサインが続々並んでいるのだが、初めての追っかけでは、あぁお姉ちゃん、一番好きなデビシルにはもらえなかったんだね。 そんな姉も、今は立派なお母さんに… と言いたいところだが、まったくそうはならず、50歳を過ぎた今も少女のようにふわふわしている。ただ、26歳で結婚した後、ロック熱はぴたっと止み、当時のレコードやCDでさえ、ほとんど聴かなくなってしまったようだ。追っかけまでした気持ちはわかるが、あんなに好きだったロックから離れてしまったことは、納得いかないなぁと思うのだ。
2016.05.01
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