11月16日
みんなの洋楽ナイト — NEW WAVEとは温故知新、遡ればそこに未来があった
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photo:UNIVERSAL MUSIC  

リマインダー主催の DJイベント『Golden 80’s vol.2 – みんなの洋楽ナイト』に DJ として参加することになり、今回はニューウェイヴと出会った頃の初心について話そうと思い立った――

80年代の洋楽を聴く楽しさと言えば、僕の場合なんと言っても、演奏しているカバー曲からバンドのルーツを遡ること。そして、オリジナル曲にたどり着いたときの嬉しさと言ったらそれは得難いもので、遡れば遡るほど新しい感覚が身についていった。

80年代と言えば、70年代までの難解で古臭い音楽をニューウェイヴが一掃したとのイメージもあるが、その反面、温故知新的に50年代、60年代、70年代の楽曲を新たな価値観でブロウアップしてきた時代でもある。

たとえば、ポール・ウェラー率いるザ・ジャムの場合、ファーストアルバム『イン・ザ・シティ』で、ビートルズもプレイしていた「スロー・ダウン」を疾走感溢れるパンクチューンとしてカバーしているが、これはロックンロールのオリジネーター、ラリー・ウィリアムスのナンバーだ。

またセカンドアルバムの『ザ・モダン・ワールド(This Is the Modern World)』には「ミッドナイト・アワー(In The Midnight Hour)」を収録。こちらは、R&B のスタンダードでウィルソン・ピケットのカバーである。このセカンドアルバムについて、彼らは納得のいく仕上がりではなかったことをコメントしているが、ファースアルバムを踏襲したドライブ感あるネオモッド系のアレンジは嫌いではなかった。

そして、80年代の到来を迎える約2か月前にリリースされた4枚目のアルバム『セッティング・サンズ』では、マーサ&ザ・ヴァンデラスのカバー「恋はヒート・ウェイヴ(Heat Wave)」を収録。セカンドアルバムで「ミッドナイト・アワー」がB面ラストに収録されていたように、同曲も同じくB面ラストに収録されている。おそらく、これには、セカンドアルバムのリベンジ的な意味合いもあったと思う。そして、このとき僕はザ・ジャムの深化を知ることになる。

―― ストレートでガレージ的な解釈もできる「ミッドナイト・アワー」に対し、ミック・タルボットのピアノをフィーチャーした「恋はヒート・ウェイヴ」は重厚かつソリッドな音作りで80年代の幕開けに相応しいポップさを兼ね備えていた。オリジナルのマーサ&ザ・ヴァンデラスとは全く違った解釈で、『温故知新型ニューウェイヴ』の頂点に立つ名曲に仕上がっている。

ちなみに「恋はヒート・ウェイヴ」はザ・ジャムのメンバーがリスペクトしていたザ・フーもプレイしているし、日本では、コレクターズのカバーが有名だ。60年代のビートグループから受け継がれ、新しい時代の扉を開く象徴的な曲として多くのファンに愛される名曲なのだ。

ザ・ジャムは、それまでの流れを踏まえラストアルバム『ザ・ギフト』(1982年3月12日リリース)において、モータウン・ビートを基調とした極上のオリジナルナンバー「悪意という名の街(Town Called Malice)」を完成、見事全英1位に輝く。

このようにして、僕はザ・ジャムからモータウンを知り、ザ・フーなどのブリティッシュビートへと至った。ひとつ知るたびにヴィンテージを掘り当てた感覚… たとえば80年代のソリッドな音と60年代のマーサ&ザ・ヴァンデラスを聴き比べても、後者が懐かしいとか古臭いという感覚は皆無だった。80年代に聴いた60年代のアメリカ音楽というのは、未だ知ることがなかった未来に他ならない。遡れば遡るほど未開の世界がそこにあるという解釈が、今も音楽の聴き方の基本として僕のなかに根付いている。

そして、これと同じくザ・クラッシュからはレゲエを… 80年代ポストパンク黎明期にデビューしたスペシャルズからはスカを知り、さらにストレイ・キャッツからは、ピュアロカビリーというヴィンテージを得た。

―― ロカビリーの定義はいわゆる、56年から58年ぐらいにかけて、エルヴィスの古巣であるメンフィスのサン・スタジオ周辺で録音されたものに限られる。ストレイ・キャッツのデビュー以前は一部のマニア以外、世間的にはほぼ黙殺されていたにも等しい音源なので、この宝を掘り当て、世に知らしめたストレイ・キャッツの功績はあまりにも大きい。また90年代には、彼らの元ネタを集めたオムニバスアルバム『ストレイ・キャッツ・クラシックス』なるものが発売されていたので、ストレイ・キャッツからロカビリーの深い森へと誘われた人も少なくなかったに違いない。

ザ・ジャム、ザ・クラッシュ、ストレイ・キャッツをはじめとするロックミュージシャンは50~60年代という時代の魂を蘇生させ音楽シーンに多大な影響を与えてきた。それはつまり、80年代の洋楽を知ることで、ロックの歴史を体感できるということだ。

そう考えてみると、僕はなんて素晴らしい時代に洋楽を聴き始めたんだろう。今回の DJイベント『Golden 80’s vol.2 – みんなの洋楽ナイト』では、80年代のニューウェイヴを通して “未だ見ぬ 50’s、60’s の世界” を存分に楽しんでもらえたらと思っている。

2018.11.11
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  YouTube / TheJamVEVO


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カタリベ
1968年生まれ
本田隆
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