3月

モリッシーも愛したポストパンクの重要人物、リンダー・スターリング

44
1
 
 この日何の日? 
ルーダスのファーストEP「ザ・ヴィジット」がリリースされた時期
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1980年のコラム 
さだまさし「HAPPY BIRTHDAY」これまでの自分から新しい自分に!

ドゥーワップを手にしたネズミたち、シャネルズからのラッツ&スター

EPICソニー名曲列伝:シャネルズ「ランナウェイ」が連れて行ってくれた遠い世界

スペクトラムが甲冑を着てやってきた!ラフォーレ原宿と原宿音楽祭

マイケル・ジャクソンとピンク・レディーの類似性、妄想探偵が解き明かす!

アクションヒーローの哀愁!渡辺宙明が手掛けた特撮エンディングテーマの黄昏感

もっとみる≫




横浜美術館で開催中の展覧会『ヌード NUDE 英国テート・コレクションより』に、リンダー・スターリング(通称リンダー)という女性アーティストの作品が3点ほど展示されている。

ロダンの傑作エロティック彫刻『接吻』を目当てにやって来たボクとしては、思わぬ出会いにハッとしてしまった―― このリンダーは、マンチェスター出身のバズコックスの「オーガズム・アディクト」(1977)のジャケットに描かれた有名な「アイロンヘッド」を手掛けたコラージュアーティストで、ボーカルのハワード・ディヴォートとはパートナーの関係だったのだから。

スコットランドのネオアコバンド、オレンジ・ジュースの曲名からそのタイトルを拝借し、「ポストパンクマインド」を的確に抽出してみせたサイモン・レイノルズの名著『リップ・イット・アップ・アンド・スタート・アゲイン(引き裂いて、再始動だ)』(※注)によれば、ローワー・ブロートン・ロードにある家に、ディヴォートはマネージャーのリチャード・ブーンと暮らしていて、そこにガールフレンドのリンダーも転がり込んでいた。

その二、三軒隣には同じくバズコックスのピート・シェリーが住んでいて、よく姿を現したことからこの家が一種の文化コロニーになっていた。大家曰く、「ちょっとした『ウォーホルのファクトリー』だったわよ」とのこと。

また同じくマンチェスター出身の「肘掛け椅子の反逆児」ことスティーヴン(のちのモリッシー)のリンダーへのリスペクトも度を越したものがあり、彼女が男友達と暮らすフラットに転がり込んで、ともに一年暮らしてしまったという。そこで彼女の女性解放運動への並々ならぬ関心にモリッシーは触発され、関係書を読み漁り、「不可解そのもの」の関係を育んだという。このようにマンチェスターパンクのレジェンドたちに多大な影響を与えたアーティストである彼女が、1978年に結成したポストパンクのバンドがルーダス(Ludus)である。

1980年にリリースされたファーストEP『ザ・ヴィジット』収録の「アイ・キャント・スイム・アイ・ハヴ・ナイトメアズ」という曲を試しに聴いてみよう。

リジー・メルシエ・デクルーのような鋭角的かつ官能的なアヴァンポップスタイルに、ザ・コントーションズの虚無的なブラスの入れ方を混ぜたようなサウンドで、このバンドはポストパンクというよりノーウェーヴに近い。これだけ前衛的なサウンド&ヴィジョンを持っていれば、流石のモリッシーも参ってしまうだろうことは想像に難くない。

ちなみに、そんなモリッシーがザ・スミスを結成するまでを描いた伝記映画『イングランド・イズ・マイン』(近日公開予定)では、リンダーもほとんどヒロインに近いかたちで登場するようだ。

演じるのは、ピーター・グリーナウェイの『英国式庭園殺人事件』(1982)やデレク・ジャーマンの『ザ・ガーデン』(1990)といった、英国「庭」映画の系譜に連なる『マイ ビューティフル ガーデン』(2016)に主演したジェシカ・ブラウン・フィンドレイという女優。モリッシーとリンダーの「性」を超えた複雑な関係はどのように描かれるのか、公開が待ち遠しい。


※注:『ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984』という邦題でシンコーミュージックから出ていますが、原題の方がより洒落っ気があり、ポストパンクの本質を衝いている気がします。

2018.05.15
44
  YouTube / vilazelenihkrila


  YouTube / RoxyVortex
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1988年生まれ
後藤護
コラムリスト≫
22
1
9
8
0
初めて買ったピー音入りレコード、アナーキーのレコードから消された言葉
カタリベ / やっすぅ
50
1
9
8
3
ロックの世界へようこそ!すべては中野サンプラザから始まった
カタリベ / 本田 隆
141
1
9
8
6
田中泰延が会社を辞めたもう一つの理由、ジグ・ジグ・スパトニックと布袋寅泰
カタリベ / 田中 泰延
40
1
9
7
8
闇に吠える街、スプリングスティーンから聴こえてくるパンク・スピリッツ
カタリベ / 岡田ヒロシ
41
1
9
8
0
ロックで一番かっこいいライブ!クラッシュ@ルイシャム・オデオン
カタリベ /  白石・しゅーげ
25
1
9
8
9
ストーン・ローゼズがやってくる、片思いのBGMは「石と薔薇」
カタリベ / 浅井 克俊