前回は国内盤がリリースされなかったザ・ジャムのラストシングル「ビート・サレンダー」について書いたが、今回はジャム解散後にポール・ウェラーが始めたユニット、ザ・スタイル・カウンシル(以下スタカン)の話を。
「ビート・サレンダー」に惚れ込んだ当時高校生の自分は1983年から活動を開始したスタカンの動向を追いかけた。ありがたいことに、日本のポリドールも1~3枚目のシングルをポンポンポンとリリースしてくれた。そして4枚目のシングル「ソリッド・ボンド・イン・ユア・ハート」である。ラジオでこれを耳にして、またもやウェラーがマスターピースを! と舞い上がったのである。
しかし日本のポリドールは、このシングルをなぜかリリースしなかった。これはイタい。というのも、自分にとって国内盤は歌詞を知るために重要だったから。輸入盤に歌詞が載っていなくても、国内盤なら聴き取りによる歌詞が掲載される。が、その望みも絶たれてしまった。
そんなある日、アメリカ人の臨時講師が秋田の田舎の高校で一日、英語の授業を受け持つ…… というイベントが。これはチャンス! 授業が終わった後、その先生に「ソリッド~」をダビングしてテープを渡し、どんな歌詞なのか知りたいので、聴き取りを書きおこして欲しい、とお願いしてみた。OKをもらい、待つこと約2週間。ドキドキしながら書き起こしを受け取ったが…… それは自分でも正しくないこととわかった。“Solid bond” というタイトルにもなっている箇所からして “Solid bone” と聴き取られたのだから。“頑丈な骨” ですか!? カルシウム!
同じ英語でもイギリスとアメリカでは違うし、地域によって訛りもある。後年、国内盤歌詞カードには外国人による聞き起こしが多く、間違いも多々あると知ったが、この体験を踏まえて妙に納得した。同じ日本語でも、東京の方には、秋田弁の解読は難儀だしなあ……。
2016.11.04
YouTube / TheStyleCouncilVEVO
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