11月22日

ザ・プライベーツのインディーズ時代「CITY COCKTAIL」はひとつの通過点だった

34
0
 
 この日何の日? 
ザ・プライベーツのシングル「CITY COCKTAIL」がキャプテンレコードからリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます

 
 1985年のコラム 
筒美京平と歌謡曲黄金時代、1971年と1985年は “奇跡の年”

聖なる夜に口笛吹いて♪ 佐野元春が教えてくれたひとりぼっちの勇気

スプリングスティーンが紡ぐアメリカの小さな町で暮らすひとりひとりの歌

ウォーターボーイズから教わった人生の本質 ― 今までは川、これからは海

追悼:トム・ペティ — きみがロックンロールスターになりたいのなら

スタローンと結婚したいっ!初めて買ったLPは「ロッキー4」のサントラ盤

もっとみる≫




キャプテンレコードからリリースしたシングル「CITY COCKTAIL」


僕の場合、バンドは見た目というのが大前提なのだが、その中でも、スーツを着てカッコよくキメるバンドにも大きく影響されてきた。

リッケンバッカーを抱え誰よりも高くジャンプしたポール・ウェラー率いるジャム、そしてパブロックの帝王、ドクター・フィールグッド。フィールグッドの黒っぽさを日本でマッシュアップさせたザ・ルースターズ。これを継承し、90年代、その様式美を開花させたのがミッシェル・ガン・エレファント…

そんな中、僕にとっての極めつけの存在だったのがザ・プライベーツだ。1985年、雑誌『宝島』主催のインディレーベル、キャプテンレコードより、アナログ盤7インチ「CITY COCKTAIL」をリリースした当時の彼らにもそんなイメージがあった。

ザ・プライベーツは、2020年現在もバンドは継続中。結成37年というのは並大抵のことではないだろう。ブルースや60年代のブリティッシュビートに根差した小賢しいギミックなしの愛情溢れるロックンロールで今尚ファンを沸かせている。

クールなバンドスタイル、都会的なビートミュージック


彼らザ・プライベーツは、「CITY COCKTAIL」をリリースした2年後の1987年、東芝EMIとメジャー契約し、8月26日シングル「君が好きだから」をリリースする。ここで興味深いと思うのは、メンバーたちが十代の頃から慣れ親しんできたザ・ローリング・ストーンズをはじめとするブリティッシュビートに回帰しているということだ。

メジャーデビュー前のザ・プライベーツは、現在の彼らの持ち味とは少し違い、都会的なビートミュージックであった。それは、セカンドアルバムの頃のBOØWYや博多のモダンドールズにも通じる、まさに “洗練” という言葉が相応しい。

 おまえの言うことが
 間違いじゃないとは思うが
 俺はただ金には頭を下げたくは、ない

 期待と不安をシェイクして飲ませてくれる
 甘い蜜の後で苦い薬をつきつける

―― という「CITY COCKTAIL」の歌詞にもしびれた。タイトルもさることながら、ハードボイルドな都会の喧騒を思わせてくれる。そこに生まれる焦燥と不安、そこに生きるバンドマンとしての心情をリアルに突き付けられ、それがまたクールなバンドスタイルにピッタリとハマっていて、十代の僕はそんな彼らの音楽に恋焦がれた。

逆じゃね? メジャーデビューでレイドバックしたプライベーツ


しかし、メジャーデビュー後のザ・プライベーツは、このイメージから脱却する。ブルースハープの音色を全面に押し出したデビュー曲「君が好きだから」から始まり、1989年にリリースされた大名曲「気まぐれロメオ」では、ストーンズの「ブラウン・シュガー」を思わせるギターリフに一瞬で虜になった。そうして彼らは、自らのバックボーンに忠実な軌跡を作っていった。

普通は逆じゃないかと思う。制約の多いメジャーデビューにあたり、時代に合わせた洗練さが求められるのが常であるが、ザ・プライベーツは、自分たちの初期衝動である本来の持ち味に戻りレイドバックする。そしてこれが、現在まで転がり続けている秘訣なのではないか?

つまり「CITY COCKTAIL」は彼らにとって完成されたひとつの通過点だった――

そして、彼らは現在も媚びることなく、心底好きな音楽と向き合っている。今考えてみると、これをアマチュア時代の集大成と捉えることにより、当時のメンバーは20年後、30年後、いや、もっと先の自分たちの姿を見据えていたのかもしれない。


※2018年6月22日に掲載された記事をアップデート

2020.11.22
34
  YouTube / gyakuhunsyasyounen
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1968年生まれ
本田隆
コラムリスト≫
13
1
9
7
9
ブルース・スプリングスティーンのロックンロール!来日公演の実現を切に願う
カタリベ / 海老沼 大輔
16
1
9
8
6
甦るトランスの音、80年代インディーズは東京という地方のあだ花?
カタリベ / ジャン・タリメー
33
1
9
8
0
音楽が聴こえてきた街:北九州発の無骨なロックンロール、花田裕之が続ける旅路
カタリベ / 本田 隆
52
1
9
8
6
80年代の東京インディーズ事情、上條淳士の「TO-Y」と北村昌士の「YBO²」
カタリベ / ジャン・タリメー
34
1
9
7
9
博多ロックの重要メディア、筋の通ったインディーズマガジン「BLUE-JUG」
カタリベ / 吉井 草千里
75
1
9
8
7
フィギュアスケートとブルースのマリアージュ、高橋大輔も踊ったオルガンブルース
カタリベ / ユリンベ
Re:minder - リマインダー