早いもので、忌野清志郎が58歳で世を去ってから15年が経とうとしている。そんな折、タイムリーにリリースされた編集盤2種。『ロックン・ロール~Beat, Groove and Alternate~』のRCサクセション編と、忌野清志郎編。いずれもCD2枚組で計4枚。発表年順の収録ではなく、時代を行ったり戻ったりしながら並べられている。すべて通して聴くと、7時間弱!いやはや、これは壮観としか言いようがない。
ライブ盤からのセレクトも少なくないが、「ドカドカうるさいR&Rバンド」はギターリフに歓声が重なる『THE KING OF LIVE』収録の鳥肌が立つようなバージョンであるのが嬉しい。同じくライブバージョンでの収録の「サマーツアー」がヒットしたのは高校1年の頃だったが、この年にRCは大規模な全国ツアーを行ない、筆者の地元、秋田にもやってきた。3年前はライブハウスのキングだったが、このときは先のアルバムタイトルどおり、ライブのキングとなっていた。
清志郎のルーツをうかがわせる曲をしっかり収録
RCの後期からは比較的、ツウ好みの曲が選ばれているが、これは学生時代に熱心に聴いていたファンとしては懐かしいというか、素晴らしいというか。没後、「サマータイム・ブルース」のような反原発ソングがやたらと盛り上がり、そちらに目が行って他が目立たなくなったということもあるが、ソウルフルな「MIDNIGHT BLUE」やブルージーな「悪い星の下に」など、清志郎のルーツをうかがわせる曲をしっかり収録。RC最後のオリジナルアルバム『Baby a Go Go』から収録された「Rock'n Roll Show はもう終わりだ」は、当時就職して間もなかった筆者の気持ちに妙にフィットしていたことも、聴いていて思い出される。
気が付けば、筆者も今年は清志郎の没年齢になる。今もロックを卒業した気にはなっていないものの、髪は切るより先に抜けていく、そんな年齢だ。58歳になっても、「自由」のように強気になるときもあれば、「バラバラ」のようにシニカルになることもある。それを繰り返しながら、ロックンロールショーは続く。『ロックン・ロール~Beat, Groove and Alternate~』は、そんな人生のお供にピッタリじゃないか。