2017年10月9日、CHABOこと仲井戸麗市は67歳の誕生日を日比谷野音のステージで迎えた。Dr.KyOn がバンマスの CHABO BAND をバックに初めてのワンマン。それがどんな一夜だったか、満員の客席にいた人たち(たくさんのミュージシャン含む)とならばこの先何年も語り合うことができる。
CHABOさんは私の憧れの人だ。いや、私だけではない。阿佐ヶ谷ロフトでのトークライブで古市コータロー&ウエノコウジに「誰が好きなの」と聞かれて「CHABOさん」と答えたら、「あ~…」「…チャボか~…」とあの極悪コンビが黙った。酒の席で秀樹と秀俊(黒沢秀樹と桜井秀俊のユニット)に CHABOさんの話をしたら「俺だって CHABOさんになら抱かれてもいい!」と口を揃えてライバルの名乗りを挙げられた。
はるか昔の高校時代、私は『mc Sister』という雑誌を愛読していた。後ろのほうのモノクロ見開きで4人が1/2ページずつエッセイを連載しており、その中にRCサクセションに正式加入したばかりの CHABOさんがいたのだ。
若きキース・リチャーズを思わせる風貌よりもまず、その文章に魅了された。ロックンロールとブルースと含羞と、年上らしき “彼女” への愛情。ヤな奴に出くわしたらつま先から頭の先まで眺めて自分のほうが上等だと思え。胸に刻んだこの教えは時に役立ち、時に逆効果だった。
なんて素敵な人だろう。でも彼女って彼女って彼女って。
後年、仕事の場でその “彼女” であるフォトグラファーのおおくぼひさこさんに会ったときは「この人か! この人があの!」と臍を噛んだ。プリンセスプリンセスの奥居香も同じことを言っていた(CHABOさんのためならアルバム1枚作れるそうだ)。おおくぼさんの素敵さがまたまぶしく、敗北感とともに嬉しさも感じた。それは今も変わらない。
80年代を知る人にとって、RCサクセションの野音が特別だったことは言わずもがなだろう。清志郎さんとともに野音のステージに再び立つ二度の約束が果たされなかったことも知っている人は多いはずだ。
ライブタイトルにも冠された「雨あがりの夜空に」があの日どんな意味を持っていたかを書くにはもう字数がない。「みんな中学生高校生だったんだろ?」客席に向かって CHABOさんはそう何度も言った。部活焼けをした高校生の自分が、確かに大きく手を振った。
2017.10.22
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