6月22日

土屋昌巳のロンドン録音:クリス・トーマスの寿司伝説とエルトン・ジョン

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前回、マイルス・デイヴィスに遭遇した話を書きましたが、私に写真を撮って送ってくれと頼んできた、マイルス・バンドのドラマー、ヴィンセント・ウィルバーン・Jr. はマイルスの甥だよ、と知人が教えてくれました。マイルスのお姉さんの息子だそうです。ネットで調べてみたら、84〜87年、マイルス・バンドのドラマーを努めたようです。写真もあって、たしかに見覚えがありました。

ついでに今回も、海外こぼれ話を少し。土屋昌巳さんの担当 A&R として、ロンドンに行ったときのことです。土屋さんではレコーディングのために、2回ロンドンに行きました。3rd アルバム『LIFE IN MIRRORS』(1987年)のとき(参照:「あこがれの存在、近寄り難きアーティスト=土屋昌巳に近寄ってみた」)と、その次の4th アルバム『HORIZON』(1988年)のとき。

その1回目での失敗談。レコーディングにも参加してくれた “Japan”(既に解散していましたが)のデヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)がライブのため(?)のリハーサルをしていて、土屋さんについて見学に行ったのですが、あの人、あのように低い声でモニャモニャ歌うので、まだ時差ボケしていた私に、恰好の睡眠誘発剤となりまして、いつのまにかその場で眠りこけてしまったんです。しかも失礼極まりないことに、大イビキをかいていたらしい。土屋さんはずいぶんバツの悪い思いをしたようで、後でかなり小言を言われました…。

次に、これは1回目だったか2回目だったか、どちらもロンドンのオックスフォードストリートにあった AIR Studios でやっていたので、定かじゃないのですが、お昼ご飯に寿司をテイクアウトして、スタジオで食べていたんですね。

おもむろに土屋さんが言いました。
「クリス・トーマスはお寿司が大好物で、こうやってお寿司を食べていると、どこにいても匂いを嗅ぎつけて、必ずやってくるんですよ」

もちろん、単なる冗談だと思いました。クリス・トーマス(Chris Thomas)と言えば、ビートルズを皮切りに、エルトン・ジョン、ピンク・フロイド、セックス・ピストルズ… 数々のビッグネームに携わった、そしてあのサディスティック・ミカ・バンドの『黒船』もプロデュースした、有名なプロデューサー。たしかにここ、AIR Studios 出身だけれども…。

と、ほどなく、スタジオの扉があいて、長髪・長身の男と、短髪で小柄な男の二人連れが入ってきました。まさか、と思いましたが、なんと! 長髪・長身はまぎれもなく、クリス・トーマスその人ではありませんか。

土屋さんが「ほらね!」と、ドヤ顔で笑いながら、でもやはり自分でも驚いているのが気配で判ります。想像するに、以前そんなことが一度はあって、それを大げさに話してたんじゃないでしょうか。

もちろん、ほんとは寿司の匂いを嗅ぎつけたわけではなく、Masami Tsuchiya が来てるよと聞いて訪ねてきた、というようなことかもしれませんが、土屋さんと私の中では、その時、「クリス・トーマス寿司伝説」はまぎれもない真実であると確認されたのです。

さすが既知の仲らしく、土屋さんとクリスはしばらく談笑し、でもお寿司はあげず(余分はなかったからね)、やがて二人は引き上げていきました。

気になったのがもう一人の、短髪・小柄です。最初はスタジオのメンテナンススタッフかなんかかな、と思っていたのです。ブルーのつなぎを着ていて、まるで作業服のようでしたから。でも、立ち居振る舞いがどうもそういう感じじゃないような。

私は土屋さんに尋ねてみました。
「クリスさんの隣りにいたおじさんはいったい誰なんですか?」
土屋さんは吹き出して、
「何言ってんですか! 福岡さん、エルトン・ジョンですよ」

え、えーー!!?
作業服だし、メガネしてなかったし、ほんと地味だったので、全然判らなかった…。

またまた失敗してしまいました。でもまあ、判ったところで、別に何をしたかったってことはないんですが、なんとなく、もっとちゃんと見ればよかった(^^)。

2019.04.02
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カタリベ
1954年生まれ
福岡智彦
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