2020年 12月23日

不退転のロッカー THE MODS 森山達也、35年ぶりのソロアルバム「ROLLIN’ OVER」

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ザ・モッズのフロントマン、森山達也2枚目のソロアルバム


2020年。新型コロナウイルスの感染拡大。ミュージシャン、音楽関係者にとって “有事” と言ってもいい状況が続いたと思う。そして今も暗中模索の中にいることは察するに余りある。そんな中、35年ぶりのソロワーク制作に着手したのが、来年レコードデビュー40周年を迎える不退転のロッカー、ザ・モッズのフロントマン、森山達也だった。

9月にリリースされ大きな反響を呼んだマキシシングル、T.MORIYAMMER名義の「GET YOUR SELF」に続き僅か3ヶ月のインターバルでフルアルバムをリリース。その名も『ROLLIN’ OVER』だ。

ザ・モッズにしてみても、コロナ禍での暗中模索は例外ではなく、ライブの延期が相次いだ。ファンへの思いが並大抵ではない森山が、自分に何ができるか、何が一番効果的なのかと考えた末たどりついたソロワークの制作だったと思う。

このアルバムのジャケットでは、普段見せることのない、髪をおろした森山の近影が使用されている。ザ・モッズのライブでの森山は、髪を上げ、リーゼントにし、臨戦態勢に入ったような緊張感をフロア全体にもたらすのが醍醐味であった。しかし、このアルバムでは、そんなジャケットが物語っているように、ザ・モッズのサウンドとは全く趣が異なり、シンガー森山達也のルーツに根ざしながら、長い活動期間の中で熟成された凄みを十分に堪能できる1枚となっている。

プロデューサーは古くからの盟友、KOZZY IWAKAWA


森山は、古くからの盟友であり、1991年にザ・モッズ主催のレーベル、スカーフェイス・レコーズ立ち上げから行動を共にしてきたKOZZY IWAKAWA(ザ・コルツ、マックショウ)をプロデューサーとして迎え、すべてを委ねた。

この森山の信頼に、KOZZYはすべての楽器を演奏し、ふたりきりでの制作を目論んだのだ。そして、シンガー、ミュージシャンとしての森山を知り尽くしたKOZZYの手腕により、このふたりでしか成し得ることのできないアルバムを完成させた。

アルバムを最後まで聴いて、僕は思わず声を漏らしてしまった。「凄いアルバム作ったなぁ…」と。それは、表現者という言葉では括ることのできない森山の様々な表情が見えたということ。

森山のフェイバリットであったビートルズをルーツにしながらも、プロデューサーのKOZZY IWAKAWAの言葉を借りていうのであれば、ザ・モッズのサウンドとは異なった趣向であるパンク以前の音の作り方からインスピレーションを得てサウンドを構築したという。

例えるなら、ジョン・レノンの傑作アルバム「ジョンの魂」


余計な装飾をあえて施さず、必要最低限の音を積み重ねていくという方法論は、バンド・サウンドとは全く違ったスタンスだった。例えるならば、ジョン・レノンがビートルズ解散を表明した70年にリリースした傑作『ジョンの魂』のような飾りのない音作りの中に今を生きる自らをすべてさらけ出しているようにも感じた。

リリックに関しても、時には、今の状況にどうすることも出来ない弱さをさらけ出し、一筋の光を目指して、決して諦めない希望を歌う。ザ・モッズの歌詞が時代を映す鏡であったように、ここに描かれる森山の世界観も今の状況、心情、ファンへの思いを浮き彫りにしている。

他にも、森山の変幻自在な歌唱力から、シンプルな音作りの中にも様々なバックボーンが垣間見れるのが興味深い。例えば、森山が以前、トーキョー・パワーポップの新星Luv-Enders(ラヴェンダーズ)に楽曲提供した「恋することのもどかしさ」のセルフカバーでは、ザ・ロネッツ、シャングリラスといった60年代のガールズグループの持ち味であるキラキラしたドリーミーな世界を昇華させ、聴かせるR&Bにリメイクしている。

35年前のプロデューサー、土屋昌巳とは異なった方法論


それは、35年前にリリースした土屋昌巳プロデュースのアルバム『JUST A PRETENDER』とは異なった方法論の中にシンガーとしてのいくつもの顔を見せてくれたということだ。

『JUST A PRETENDER』が1985年リリースという年に相応しいソフィスケートされた時代の最先端の音にシンガー森山達也の可能性がふんだんに散りばめられれたゴージャスとも言えるポップチューンだったのに対し、今回のアルバムでは、ビートルズのメンバーが独自の解釈を施したカントリー、R&B、ロックンロールを基盤にしながらも、極めてシンプルな音作りの中、森山の歌、そして奏でるメロディがひとりの男の生き様とも言える物語となっている。

ここには、現在のザ・モッズが始動する遥か昔に森山が描いた心象風景が描かれている。それは、5曲目に収録された、「Boy Meets Rock’n Roll」だ。ここには、10代だった頃の森山がロックンロールにコネクトした瞬間の瑞々しさと煌めきが、ジョージ・ハリスンの影響が垣間見られるKOZZYのギターに誘われるかのように転がりだしていく。そこからはじまり、これからもまだ続くであろう森山の “物語” が全13曲収められている。

ザ・モッズは来年、結成40周年を迎える。不退転のロッカーたちの長き道のりは決して平坦なものではなかった。そして、現在のザ・モッズのもっともっと前から森山の物語は始まっていたことを僕らはこのアルバムを通じて改めて知ることになる。ファンにとっては最高のクリスマスプレゼントとなっただろう。



2020.12.23
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カタリベ
1968年生まれ
本田隆
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