戦場のメリークリスマス。大島渚という巨匠と坂本龍一という若き天才、そのどちらが欠けてもこの映画がここまで成功することはなかっただろう。
映画は1942年、日本統治下にあるジャワ島の日本軍捕虜収容所内での出来事を描いている。戦争の真っ只中、異常な極限の状況下で支配する側(日本兵)と支配される側(捕虜)の感情が絡み合って様々な事件と衝突がおこる。
捕虜で日本語が堪能な英国陸軍中佐を名優トム・コンティ、日本軍の粗暴な軍曹をビートたけし、収容所所長を坂本龍一、日本の輸送隊を襲撃し捕虜となった陸軍少佐をデヴィッド・ボウイが演じている。
衝撃的だったのは、やはりボウイと坂本さんの同性愛をイメージさせるキスシーン。
「レッツ・ダンス」をヒットさせ、全盛期を迎えていたボウイの研ぎ澄まされた美しさは病的であったし、それに対する坂本さんの神秘的で東洋的な美しさも負けてはいなかった。
そして、あのキスシーンで流れる曲の美しさは映画そのものを超えていたかもしれない。映画では坂本さんの音楽が全編を彩り、映画自体がサントラの壮大なプロモーションビデオであると思えるほど素晴らしい出来だった。
そして、映画本編には流れていないが「禁じられた色彩(Forbidden Colours)」(1983年)という曲がある。
この曲はデヴィッド・シルヴィアンが、映画のテーマ曲に歌詞を加えたもので、題名は三島由紀夫の小説「禁色」からとっている。
シルヴィアンのボーカルだったからこそハマった曲で、クリスマスシーズンともなるとラジオでいまだにリクエストされ嬉しくなる。そして彼の美しい歌声が映画の思い出とクリスマスをより一層深めてくれるのだ。
禁じられた色彩(Forbidden Colours)/ David Sylvian
作詞:David Sylvian
作曲:坂本龍一
発売:1983年(昭和58年)
2015.12.28
YouTube / xxxtitanheadroomxxx
Information