9月23日

プライマル・スクリーム「スクリーマデリカ」に宿る雑食性とロックンロールスピリット

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プライマル・スクリームのサードアルバム「スクリーマデリカ」が英国でリリースされた日
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プライマル・スクリームの傑作アルバム「スクリーマデリカ」


今から30年前の1991年、ロックは新しい時代を迎えた。1991年はグランジやオルタナティブロックの名盤が数多く発表され、翌92年1月にはニルヴァーナの『ネバー・マインド』がチャートの1位を獲得した。

オルタナティブロックという音楽シーンの地殻変動から30周年を迎える2021年、今こそ1991年のロック名盤を振り返り、いくつかの作品を本サイトでリマインドしていきたい。

グランジやオルタナティブロックは、アメリカで勃発したロックの革命であった。しかし、イギリスでも既存のポップミュージックの価値観に縛られない自由な表現に向かったロックバンドが存在した。今回のコラムでは1991年のイギリスに目を向けてみよう。

プライマル・スクリームは1991年9月23日にサードアルバムにしてバンドのキャリアを代表する傑作『スクリーマデリカ』をイギリスでリリースした。

ロックもダンスミュージックもブルースロックも飲み込んだサウンド


1982年にスコットランドのグラスゴーでボビー・ギレスピーによって結成されたプライマル・スクリームは、デビューアルバム『ソニック・フラワー・グルーヴ』を1987年リリースする。続くセカンドアルバム『プライマル・スクリーム』は1989年リリースされ、ストゥージズ風のガレージロックを鳴らしている。

この時点でプライマル・スクリームは良くも悪くも数多いるインディー・ギター・バンドのひとつで、そのシーンの愛好家には熱心なファンがいたが、時代を象徴する名盤を作り上げるバンドになるとは誰も予想していなかった。

しかし、サードアルバム『スクリーマデリカ』ではダンスミュージックをはじめ、サイケデリックやブルースロックまで多様な音楽性を飲み込んだサウンドを聴かせてくれた。

プライマル・スクリームも当時のUKロックバンドの御多分に漏れずセカンド・サマー・オブ・ラブの影響をもろに受け、ダンスミュージックへのアプローチを強めていった。そこまでならマッドチェスター以降のよくある流れなのだが、プライマル・スクリームは更にアメリカ南部ノリのブルースロックにまで音楽の幅を広げていったのだ。

コロコロと変わる音楽性、それでも備わるアルバムの高いクオリティー


『スクリーマデリカ』がリリースされるまでに定期的に先行シングルがリリースされていたが、その時点での私の印象は、音楽性がコロコロと変わるバンドだな… 何か信頼できない奴らだな… と感じていた。

しかし、アルバムがリリースされ、1枚の作品として聴いてみると、ロックもダンスミュージックもサイケもブルースロックも何ら違和感なく溶け込んでいるのだ。ダンスミュージックとロックの融合は当時のトレンドだったのでビックリするような驚きはなかったが、ブルースロックへのアプローチは意外なことになかりサマになっていたのだ!

その代表的な曲が、アルバムのオープニングを飾る「ムーヴィング・オン・アップ」だ。そのサウンドはルーズなのにダンサブル、しかもポップで高揚感あふれるポジティブなもので、ネクラなことが美徳だった80年代ニューウェイヴとは明らかに違う新しいフェーズに90年代のUKインディが突入したことを強く感じさせてくれるナンバーだ。

「スクリーマデリカ」でボビー・ギレスピーが訴えかけてくるマインド


リリースから30年が経過した現在、改めて本作を聴き返してみると、多様な音楽ジャンルをミクスチャーするという戦略的な意図はこれっぽっちも感じられない。むしろ、ジャンル云々という前に、ボビー・ギレスピーがカッコイイと思った音楽を節操なくぶち込んで作ったという印象を強く感じる。また、この頃、ボビーは相当なジャンキーで、かなりぶっ飛んでいたそうだ。もう、単純に気持ち良ければ何でもOK! 状態だったのではないだろうか?

プライマル・スクリームは、この後もコンスタントにアルバムをリリースしていく。しかし、音楽的にはひとつのところに留まるわけがなく、その時々のボビー・ギレスピーの趣味や興味を反映し、気の赴くままにスタイルをコロコロと変えている。カッコ良くハマっている作品もあれば、これは失敗だなって作品もある。でも、そうした自由に表現に向かう姿勢こそがプライマル・スクリームの体現するロックンロールなのだ!

『スクリーマデリカ』でボビー・ギレスピーは「頭の中でこねくり回してチマチマと考えるよりも、本能的にカッコイイと感じたものこそがロックンロールなんだぜ!」と我々に訴えかけてくる。

ジジイになってもロックし続けるボビー・ギレスピーの生き様


2021年、59歳になるボビー・ギレスピーは、本人曰くドラッグからもすっかり抜け出し、クリーンな生活を送っているそうだ。しかし、これからも気の赴くままにスタイルを変えながら、自由なロックンロールを体現してもらいたい。

サラリーマンとして普通な日常を普通に暮らすしかない私の分までカッコ良く、時にはブザマに、転がり続けてもらいたいと願ってやまない。

だって、円熟味を増した渋いボビー・ギレスピーなんて気持ち悪いし、考えただけでゾッとする。

ジジィになってもロックンロールな生き様を貫くボビー・ギレスピーがなんてったってカッコいいのだからね!


追記
私、岡田浩史は、クラブイベント「fun friday!!」(吉祥寺 伊千兵衛ダイニング)でDJとしても活動しています。インフォメーションは私のプロフィールページで紹介しますので、併せてご覧いただき、ぜひご参加ください。

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2021.09.23
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カタリベ
1972年生まれ
岡田浩史
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