90年代のスーパーモデルブーム、ボーイフレンドは有名ミュージシャン?
90年代のスーパーモデル人気はすさまじかった。先駆けは、リンダ・エヴァンジェリスタ、シンディ・クロフォードあたりだろう。さらに、ナオミ・キャンベル、クリスティ・ターリントン、クラウディア・シファーなど、名前をあげればキリがない。
当時は、彼女たちの私服や美容法はもちろん、私生活そのものが注目の的だった。デート中の姿は、パパラッチの恰好のターゲット。私も、“へぇー、ケイト・モスはジョニー・デップと付き合ってるんだ” と、興味津々に眺めていたクチである。
スーパーモデル × 有名ミュージシャンという組み合わせも多かった。モデル × ミュージシャンのカップルは昔からゴロゴロいたが、それまでの扱いはトロフィー彼女。だが、スーパーモデルブームの頃の主役は彼女側。ファッション誌やゴシップ誌によっては、彼氏側の名前が単なる “ボーイフレンド” としか書かれていない記事もあった。
▶︎ ハイディ・クルム ×
シール
レッチリのアンソニー・キーディス
ジャミロクワイのジェイ・ケイ
▶︎ タチアナ・パティッツ ×
シール
▶︎ ステファニー・シーモア ×
ガンズ&ローゼズのアクセル・ローズ
▶︎ ケイト・モス ×
リバティーンズのピート・ドハーティ
▶︎ ヘレナ・クリステンセン ×
インエクセスのマイケル・ハッチェンス
90年代スーパーモデル × ミュージシャンの組み合わせで、私が覚えているのはこんなところだ。特に印象深いのが、ステファニーとアクセル。私はガンズ&ローゼズの大ファンだったので、ひたすらステファニーがうらやましかった。
ガンズのミュージックビデオにステファニー登場
91年にリリースされたガンズのアルバム「ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ」からのシングル曲、「ドント・クライ」「ノーヴェンバー・レイン」のミュージックビデオにもステファニーが登場。どちらもストーリー仕立てになっていた。
「ドント・クライ」で自殺しようとしたアクセルをステファニーが止め、続編の「ノーヴェンバー・レイン」で2人は結婚式を挙げる。教会での挙式のあとには、野外披露宴のウェディングケーキ入刀。すると、突然大雨が降り出し、披露宴ぶち壊しと思ったら、なぜか次の場面ではステファニーが棺に入っている。教会での葬儀、ステファニーが眠る墓前で雨に打たれ、悲しみに打ちひしがれるアクセル。結婚式から葬式へ。幸せいっぱいからの大どんでん返しだ。
え? これカッコいいの? これ観てどういう気持ちになればいいの? と、当時はかなり冷めた気持ちになった。ミュージックビデオのコンセプトとストーリーを考えたのはアクセルらしいので、まあ相当ステファニーに惚れていたのだろう。
泥沼となったアクセルとの別れから、億万長者の妻の座へ
実生活でも2人は婚約までいったが、93年に別れてしまう。すんなりハッピーなお別れとはならず、関係は泥沼化。アクセルはステファニーに10万ドル相当の宝石を盗まれたと訴え、ステファニーはアクセルに身体的暴力を加えられたと主張。裁判にまで発展した。
そして95年、ステファニーはメディア王と呼ばれるピーター・ブラントと結婚。LAバッドボーイの彼女から、ニューヨーク社交界の貴婦人へと華麗な変身を遂げた。私服も露出の多いイケイケ風から、上品なマダム風にガラリと変わり、“さすがステファニー、したたかだわぁ” とこちらは感心するばかり。そりゃ夫にするなら、悪評だらけの問題児より、メディアを牛耳る億万長者よね。
その後、ピーター・ブラントと離婚するも元さやに戻ったり、息子たちとの関係をスキャンダラスに騒がれたり、飲酒運転で逮捕されたりと、ステファニーの人生は相変わらず波乱万丈。さすがに2021年に息子を失くしたときには、相当つらかったのではないか。だが、2023年に発行された『ヴァニティ・フェア』では、往年のスーパーモデルの1人として、下着姿を披露。55歳とは思えない完璧なボディがまぶしい。やっぱり彼女は強い。
そういえば、ステファニーの足首には鎖のようにぐるりと巻きつくバラのタトゥーがあったはず。あれを見てアクセルとの日々を思い出す… なんてことは、彼女に限ってはなさそうだ。
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2024.09.28