9月27日

4月2日は忌野清志郎の誕生日! RCサクセション最後のアルバム「Baby a Go Go」

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忌野清志郎、活動の柱だったRCサクセション


4月2日は、今も多くのファンをもつ日本が生んだ本物のロッカー、忌野清志郎の誕生日。

ソロや、23’s、THE TIMERS、HIS、Little Screaming Revueなどのさまざまなユニットを結成するなどさまざまなスタイルで音楽を届けてくれたが、やはり彼の活動の柱はRCサクセションだったと言っていいだろう。

RCサクセションの原型は、忌野清志郎が中学生時代に友達の小林和生。破廉ケンチと結成したアマチュアバンドだ。解散、再結成などを経て1969年にテレビ番組のオーディションに合格して注目され、3人組フォークグループとして1970年にシングル「宝くじは買わない」でレコードデビューした。

「シングル・マン」での変化、そして反原発メッセージを込めたアルバム「COVERS」


RCサクセションの最初の2枚のアルバム『初期のRCサクセション』(1970年)、『楽しい夕べに』(1972年)はアコースティックサウンドのアルバムだった。しかし、1976年のサードアルバム『シングル・マン』では積極的にソウルミュージックやロックのテイストを取り入れて周囲を驚かせたが、この大幅なイメージチェンジはリスナーの支持を得られず、活動は低迷する。

しかし、この時期に破廉ケンチが脱退し、元古井戸の仲井戸麗市(G)、新井田耕造(D)らが加入して本格的バンドスタイルとなり、ソウルショーをリスペクトした独自のきわめてライブ熱量の高いステージを展開し、ライブバンドとして人気を高め、80年代に入る頃には日本のトップバンドのひとつとしてロックシーンをリードしていった。



圧倒的なクオリティのステージでライブシーンで輝きを放っていったRCサクセションだが、80年代中期にはバンドの運営や所属レコード会社などで問題を抱えていた。さらに反原発メッセージを込めたアルバム『COVERS』(1988年)を、所属していたレコード会社(東芝EMI)が発売拒否するなどのトラブルも起きている。
※『COVERS』はKITTYレコードから発売され、RCサクセションとして唯一のチャート1位を獲得したアルバムとなった。



闘うバンドRCサクセション


1960年代に台頭したロックやフォークは音楽のスタイルであると同時に、若い世代の思想や信条を伝えるメディアでもあった。だから、ボブ・ディラン、ビートルズをはじめとする多くの曲は、ただの娯楽を越えたシリアスなメッセージとして受け入れられていった。

だからこそそのメッセージに共感したリスナーは、アーティストにも聴き手に送ったメッセージに対する責任も求めた。口先だけではなく、その人の生きる姿勢が反映した音楽であることがロックやフォークの “同時代的” 価値のひとつだった。

とは言うものの自分の生き方を貫けば社会的軋轢も生みやすいし、ビジネス的にも得にならないことも多い。だから、メジャーと呼ばれるステイタスを確立したアーティストは踏み込んだメッセージを打ち出しにくい現実がある。

ちなみにイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」(1976年)も “本当の(ロック)スピリットは1968年で死んでしまった”―― すなわちウッドストックなどで世界的にクローズアップされた1969年以降のロックはその精神を失ってしまった。しかし、“我々は否応なくそうした時代に生きていかなければならない” という警鐘が込められた曲なのだが、この曲自体がキャッチーなポップロックとして商業的に大成功を収めるという、皮肉にも時代を象徴する現象を生んだ。そして、1980年代になると世界的にロックのビジネス化はますますエスカレートしていった。

社会的メッセージだけでなく、自分たちが巻き込まれた理不尽なトラブルに対しても敢然と不満を表明していったRCサクセションは、こうした時流の中できわめて異彩を放つ “闘うバンド” だった。

しかし、シリアスなメッセージを突き付ける『COVERS』で、時代に対してまさに孤軍奮闘していた彼らが、その闘いにケリをつけるべく発したのではないかと感じさせるのが『Baby a Go Go』(1990年)だ。

原点回帰的アルバム「Baby a Go Go」


『Baby a Go Go』は『MARVY』(1988年)に続くオリジナルアルバムだが、ここには『MERVY』や同じ年に発表された問題作『COVERS』などから感じるシリアスな緊張感や切迫感は無い。その代りに彼らの原点とも言うべき1960年代のシンプルなロックンロールのエッセンスがたっぷりと感じられる。その意味で、これはRCサクセションにとっての原点回帰的アルバムと言っていいのかもしれない。

このアルバムの制作時点で、RCサクセションから新井田耕造(D)、Gee2wo(Kb)が脱退し、正式メンバーは忌野清志郎、仲井戸麗市、小林和生の3人となっていた。そのせいもあるのか、収められている楽曲はどれも余計な音がないシンプルなビートサウンドになっている。

しかし、それぞれのサウンドには明確なカラーがある。たとえば1曲目の「I LIKE YOU」は60年代のブリティッシュサウンド、マージ―ビートのテイストでつくられているし、2曲目の「ヒロイン」はオーティス・レディングを思わせるアトランティックソウルの匂いを感じさせるなど、それぞれの曲にくっきりとした色彩感があるのだ。

もしかしたら、『COVERS』などによってもたらされた軋轢と闘いから一度距離を置いて、純粋に音楽と向き合う喜びを取り戻したい、という想いがあったのかもしれない… とも思う。

その意味で、彼らの初心に帰ろうという意志を強く感じられるアルバムだ。しかし、初期のRCサクセションがやっていた音楽に戻ろうという作品ではないと思う。このアルバムに収められている楽曲はどれもコンパクトだけれど、それぞれの曲の演奏のクオリティはきわめて高いし、アルバムとしてのトータリティも十分。きわめて完成度の高い作品に仕上がっている。

メンバーの気持ちを象徴した「Rock’n Roll Showはもう終わりだ」


では、このアルバムにはメッセージは無いのか… といえば、けっしてそうではないと思う。このアルバムに向き合うメンバーの気持ちを象徴しているのが「Rock’n Roll Showはもう終わりだ」なのではないか。まさに “ギターを鳴らして歌いたいのに”、“なんだかんだと めんどくさい” 状況を終わらせてしまいたい。

そんな想いから生まれた彼らなりのロックへの鎮魂がこの『Baby a Go Go』なのかもしれないと思うのだ。

もうひとつ、このシンプルだけれどクオリティの高いサウンドの背景には、この時代のレコーディング技術の問題もあったのではないかと思う。80年代後期からデジタルレコーディングが本格的になっていく。しかし、初期のデジタルレコーディングは音圧、音像のコントロールが難しく、思うように立体的な音がつくれないという問題があった。

こうした音響的問題から距離を置くために、シンプルなアナログテイストの音像でアルバムをつくるという意図もあったのでは… という想像もしたくなる。

『Baby a Go Go』はRCサクセションとしては最後のアルバムとなった。

そしてRCサクセションという枠から解き放たれた忌野清志郎は、さらに多彩なアプローチを展開していくことになる。

■ Information
RCサクセション事実上のラストアルバム『Baby a Go Go』初のアナログが6月7日にリリース!

1990年に無期限活動休止に入り、事実上の最後の作品となった『Baby a Go Go』がデラックスエディションとして初アナログLP化決定!

RCサクセション史上最高セールスを記録し、発売週のチャートでは当時の3大業界誌でトップ3を獲得(オリコン第3位、ミュージックリサーチ第2位、ミュージックラボ第1位)、日本レコード大賞優秀アルバム賞も受賞している作品。



<内容>
■ Disc1&2:ロンドンABBEY ROAD STUDIOにてハーフ・スピード・カッティング
■ Disc3:当時プロモーションのために作成された変形14面イラストジャケットを復刻
■ 写真集:オリジナル限定盤CDに付属していたカラー24P写真集をLPサイズで復刻
■ ポストカード:当時の購入特典ポストカードを復刻

RCサクセション “KING OF LIVE” への道のりを徹底特集!

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2023.04.02
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カタリベ
1948年生まれ
前田祥丈
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