クロスレビュー / tvk ライブ帝国Revival RCサクセション 80’s / vol.3
《キング・オブ・ライブ》と称されたRCサクセションの軌跡
tvk(テレビ神奈川)と歌謡ポップスチャンネルがタッグを組み、《キング・オブ・ライブ》と称されたRCサクセションの貴重な映像を厳選。人気音楽番組『ファイティング80's』や『Live TOMATO』で放送されたステージを編集した『tvk ライブ帝国Revival RCサクセション 80’s』が、歌謡ポップスチャンネルの『映画「愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた」公開記念 忌野清志郎 特集』の一環として、10月10日(土)22時よりアンコール放送される。
オープニングは、ライブアルバムの金字塔であり、RCサクセションがブレイクするきっかけとなった『RHAPSODY』のA面1曲目にも収録されている「よォーこそ」だ。このステージは、『RHAPSODY』リリース半年前の1980年3月20日に日本電子工学院ホールで収録されたもの。当時バンドに参加していたギタリスト、小川銀次の貴重な映像を観ることができる。彼のフュージョン的なプレイも相まって、唯一無二のサウンドを展開。今まで日本のロックシーンには存在しなかったスタイルで新たな熱狂を生み出した。ブレイク前のRCサクセションの初々しさを垣間見られる貴重な映像だ。
そして興味深いのが、この半年後、1980年10月20日収録の「よォーこそ」〜「雨あがりの夜空に」なのだが、清志郎をはじめ、メンバーは自信に満ち溢れている。ロックスター然としているのだ。そして観客の熱気が、半年前とは全く違う。前回は椅子ありのフロアで、パラパラと拍手をしているだけだったのが、このステージでは清志郎が登場するや否や、オールスタンディングの観客はヒートアップし、手を振り上げ、嬌声が響き渡る。《キング・オブ・ライブ》への階段を駆け上る序章がリアルに記録されている。
ちなみに『RHAPSODY』のライブレコーディングが東京・久保講堂で行われたのが1980年4月5日。アルバムリリースはその2ヶ月後の6月5日となる。そして翌1981年のクリスマスイブには武道館公演を成功させている。久保講堂のライブは当日券も余っていたというが、武道館の前売りは即完だった。この急激な変化の中で、バンドはどのような変貌を見せているのか。その姿がドキュメントとしても楽しめる。
“愛し合ってるかい?”を連呼、そして「スローバラード」へ
さらに当時、1週間後に発売を控えた最新シングルとして披露された「トランジスタ・ラジオ」を歌い終えた清志郎は、後に彼のMCの代名詞とも言える “愛し合ってるかい?” を連呼。そして1970年代のRCサクセションの代表曲「スローバラード」へと続く。
アコースティック編成から、仲井戸 “CHABO” 麗市、新井田耕造、Gee2wo(柴田義也)らを加えたロックバンドへと変貌した当時のRCサクセションは、オーティス・レディングを彷彿とさせる清志郎のソウルフルな歌声にハードロックの要素も加味されている。それまでにないロックバンドのスタイルを確立させていく。このように時代を俯瞰した上でも貴重なシーンがここに記録されているのだ。
1982年、ライブにも表れたバンドサウンドの変化
中盤、「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ」が演奏され、ここでバンドサウンドの大きな変化を感じ取ることができる。同曲は1981年にリリースされたアルバム『BLUE』に収録されている。本作のレコーディング当時、キーボードのGee2woが、英国パンク、ニューウェイヴの名門レーベル、スティッフやラフ・トレードの音に傾倒。同レーベルが倉庫でレコーディングしていたようにRCサクセションも同じような形態で、一発録りに近い形でレコーディングしたという。
明らかに前作のアルバム『PLEASE』とは違う独特なエコー処理を施した作品となり、これまでのソウルミュージック的な解釈にエッジを効かせた時代に即した音作りになっているのだが、こういった作品の変化がライブにも如実に表れているのが興味深い。同様に、1982年秋に収録されたという「エリーゼのために」「つ・き・あ・い・た・い」(ともにアルバム『BEAT POPS』収録)も音がどこか硬質で、『RHAPSODY』の頃から考えると、この2年でバンドサウンドに大きな変化があったことが窺い知れる。
熟成したバンドと、尖り続ける忌野清志郎
後半はロックバンドとして熟成した1987年、1988年の『Live TOMATO』からのステージが楽しめる。アルバム『MARVY』に収録されている、CHABOの歌う極太ブルースナンバー「GIBSON(CHABO'S BLUES)」では清志郎が鍵盤を叩きながら踊るというレアな場面も。続く「MIDNIGHT BLUE」では、危機感を煽るように「♪ねらわれてるぜ 油断するな油断するな」と歌い、ロックバンドのダイナミズムを体現。この頃のRCサクセションは尖りまくっているのだが、清志郎のソウルフィーリングと、バンドが積み重ねたキャリアが物語る懐の深さが共存していた。
そして、珠玉のカバーアルバム『COVERS』からの「ラヴ・ミー・テンダー」へ。収録日は1988年5月23日。そう、『COVERS』の発売中止が決定する直前のRCサクセションであり、ザ・タイマーズ結成直前の清志郎である。バンドの落ち着いた演奏と、清志郎の熱を秘めた重厚な歌い方のコントラストが興味深い。この時、バンドの状態は決して良くはなかったと聞く。そんな中で “歌いたいことを歌う” という清志郎のアティテュードが静かな炎として灯されていた。
RCサクセションのすべてが凝縮
そしてラストは、同じく1988年の映像。RCサクセション、清志郎とは縁が深い金子マリのコーラスも聴きどころの「ドカドカうるさいR&Rバンド」だ。ここで見せる《キング・オブ・ライブ》としての圧倒的な存在感、ロックンロールをエンタテインメントに昇華させたRCサクセションの真髄を感じる。
久保講堂から武道館へと駆け上がり、アルバムごとの変化を厭わず、革新的な音作りを追求してきた1980年代のRCサクセション。ひとつひとつのライブには、こういった背景がしっかりと描かれている。そしてバンドのグルーヴは常に強固で、清志郎の圧倒的な存在感は変わらない。今回の放送には1980年代のRCサクセションのすべてが凝縮されている。
Information
tvk ライブ帝国Revival RCサクセション 80’s
▶︎ 放送局:歌謡ポップスチャンネル
▶︎ 放送日時:2025年6月22日(日)よる9時〜
▶︎ オンエア楽曲
♪ よォーこそ
♪ 雨あがりの夜空に
♪ トランジスタ・ラジオ
♪ スローバラード
♪ ガ・ガ・ガ・ガ・ガ
♪ ステップ!
♪ ダーリン・ミシン
♪ キモちE
♪ エリーゼのために
♪ つ・き・あ・い・た・い
♪ 君が僕を知ってる
♪ GIBSON(CHABO’S BLUES)
♪ MIDNIGHT BLUE
♪ ラヴ・ミー・テンダー
♪ ドカドカうるさいR&Rバンド
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2026.10.09