1987年シングルTOP100のイントロ秒数は?
リマインダーで取り上げている1978年~1991年までの14年分を、1年ごとに年間シングルランキングTOP100のイントロ平均秒数を調査し、その結果を紹介していく連載企画。
今回は、“1988年” を調査します。その年間ランキングTOP10のラインナップと調査結果がこちら。
1位 パラダイス銀河 / 光GENJI(5秒)
2位 ガラスの十代 / 光GENJI(9秒)
3位 Diamondハリケーン / 光GENJI(30秒)
4位 DAYBREAK / 男闘呼組(24秒)
5位 乾杯 / 長渕剛(29秒)
6位 MUGO・ん…色っぽい / 工藤静香(10秒)
7位 剣の舞 / 光GENJI(27秒)
8位 ANGEL / 氷室京介(4秒)
9位 人魚姫 mermaid / 中山美穂(17秒)
10位 You Were Mine / 久保田利伸(30秒)
※(カッコ)の数字はイントロの秒数
調査方法は、年間シングルランキングTOP100にランクインした曲のイントロ秒数を、0秒、1~2秒、3~10秒、11~20秒、21~30秒、31~40秒、40秒以上… の7つの長さに分けて集計していきます。1988年の結果をグラフにすると、こうなります!
平均秒数は21.8秒。前年の1987年の平均が19.3秒。1年前と比べると、2.5秒長くなり、平均秒数が20秒を超える結果に。先に調査していた2年後の1990年の平均秒数が22.3秒。徐々にこの数字に近付いています。87年では0曲だったイントロ秒数「40秒以上」が、今回は5曲。
そのうち4曲が演歌。
35位 想いで迷子 / チョー・ヨンピル(44秒)
58位 みだれ髪 / 美空ひばり(41秒)
92位 年輪 / 北島三郎(56秒)
93位 王将一代 小春しぐれ / 大和さくら(41秒)
80年代後半に演歌勢がしっかりと結果を残している要因は、また別途調査していきたいと思っています。
イントロ同様 “長く” 愛され続けたチェッカーズのヒット曲
演歌以外で1988年にイントロが長く、印象的な楽曲をリリースしたのはチェッカーズ。特にこの2曲
56位 ONE NIGHT GIGOLO / チェッカーズ(36秒)
59位 Jim&Janeの伝説 / チェッカーズ(38秒)
「ONE NIGHT GIGOLO」は、バラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』のコント「ノリ男」で、ノリ男がこの曲のイントロで踊り、歌い出しの「Kill you」直後に頭をスリッパで叩かれるというギャグが定番化。「Jim&Janeの伝説」は、歌詞に登場する「行こうぜピリオドの向こうへ」が、氣志團のヒット曲「One Night Carnival」のラストの語りで引用されている。フロントマンの綾小路翔は、著書『夢見る頃を過ぎても』の中でも、
「たとえば、横浜銀蝿とかアラジンとか、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドとか、もちろんすべて大好きで今も聴いてますけど、やっぱり俺たち世代にとってのリアルではないんですよね。じゃあ何が好きだったかというと、チェッカーズだったりするんですよね。チェッカーズの世界は、目に浮かぶリアルさがあったんです」
… と話すように、まさに「Jim&Janeの伝説」はイントロだけで、氣志團というバンドのスタイルを十二分に味わうことができる1曲。チェッカーズの30秒を超える長いイントロは、その先も愛され続けたバラエティ番組や、令和時代になっても新しいバンドとのハブとして。今も活躍し続けるバンドの原点となっていました。
氷室京介「ANGEL」最高にカッコいいエイトビートのロックンロール!
今回、取り上げるのは年間シングルチャート8位の、氷室京介「ANGEL」。
BOØWYが東京ドームで行った最後のライブ『LAST GIGS』から3ヵ月後にリリースされたこの曲は、「BOØWYを超えなければ意味がない」をテーマに、バンドで作っていた音や世界ではどうしても妥協しなければいけないこと、我慢しなければならなかったことを開放し、自分の抱いている思いをストレート且つ、大胆に表現。
参加したミュージシャンは、ドラムス、村上 “ポンタ” 秀一 、ベースは吉田健(この曲のアレンジも担当)、キーボードは西平彰と、これまで多くのヒット曲を手掛けてきたミュージシャンたちに同行してもらい、ロサンゼルスのスタジオでレコーディング。そこにドン・ヘンリーや、ザ・ローリング・ストーンズのロン・ウッドとの共演で人気、実力とも申し分ないアメリカのギタリスト、チャーリー・セクストンが加わる盤石のメンバー。
1988年7月21日にリリースされた「ANGEL」は、オリコンシングルチャートで4週連続1位を記録したほか、BOØWY時代にリリースしたすべてのシングル売上を上回る37.5万枚も記録。
チープな夢ならば
いくつか手に入れたけど
眠れぬ魂が 何かを求めてる
… と歌うこの曲は、最高なソロデビューのスタートを飾りました。この曲も収録されたファーストアルバム『FLOWERS for ALGERNON』は、『第30回日本レコード大賞』にてアルバム大賞を受賞。氷室京介は受賞コメントで、
「ポピュラリティをキチっとした形で獲得できるロックなアルバムを作りたいなと思って制作に入りまして、こういう形で答えが出たのは、ほんとにうれしく思ってます。これもひとえに、氷室京介をバックから応援してくれたスタッフの皆さんと、それから全国のファンのみんなと、それからあとは、俺の実力だと思ってます」
… と発言。この発言こそが、氷室京介がソロとしても「スーパースター」の称号を得た瞬間だと私は思います。
カリスマバンドの解散から間髪入れず、その勢いそのままに響く4秒のイントロからエイトビートのロックンロールが轟く、昭和の最後に有言実行を果たしたミュージシャン・氷室京介の最高にカッコいい曲は、これからもずっと輝き続ける!
連載「80年代ヒット曲 "イントロ秒数徹底調査" 198X年のシングルTOP100」

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2022.06.13