6月21日

80年代のロックバンド《BOØWY》からZ世代のフレッシュマンに贈るメッセージ!

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BOØWYのアルバム「BOØWY」が発売された日(「Dreamin'」収録)
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フレッシュマンに贈るBOØWYの歌詞


春は別れの季節であると同時に、始まりの季節でもある。慣れないスーツに身を包んだ若者を街や駅で見かけると、10数年前の自分の姿と重ね合わせて少しばかり懐かしい感じがしたりもする。

コロナ禍で制限だらけの学生生活を送った “Z世代” と呼ばれる若者たちも、いよいよ社会人としての一歩を踏み出すわけだ。楽しいこともあるだろう。つらいことはその何倍もたくさんあるだろう。そんな時、心の拠り所になるのはいつの時代も音楽だ。スピーカーから、イヤフォンから流れる音楽は悩める若者たちに優しく、時に厳しく寄り添ってきた。

今回は「《BOØWY》からZ世代のフレッシュマンに贈るメッセージ」と題して、新しい門出を迎えたフレッシュマン諸君に、かつて世の若者たちから絶大なる支持を集めた伝説のバンド・BOØWYの歌詞の中から社会人生活を送る上で役立ちそうな至言を抜粋して紹介しようと思う。

「生涯青春」ならぬ「生涯B.BLUE」


■ B.BLUE
 ポケットにつめ込んだ
 夢だけで過ごせたネ


おそらくこの歌の主人公は夢に破れたティーンエイジャーだが、社会に出てからも大志を抱き、夢を持つことはできるはずだ。

確かに社会は理不尽が多く、一直線に夢だけを追い続けることは難しいかもしれない。しかしながら、今まさに我々がこうして触れているスマホのアプリや、身の回りの様々なサービスや娯楽……その全ては名もなき誰かの “夢” が形になったものだということを忘れてはいけない。

「夢だけで」過ごせるのはティーンエイジャーの特権だとしても、実は世の中のくたびれた風に見えるサラリーマンだってスーツのポケットに大なり小なりの夢をつめ込みながら日々をたくましく生きているのだ。

そうした意味では人生というのは夢を持つ限り、「生涯青春」ならぬ「生涯B.BLUE」なのかもしれない。



鬱陶しいノイズに負けそうになった時は、NOISE LIMITTER


■ NOISE LIMITTER
 Hey Little Boy あくせくとやりなよ
 人生なんてこんなもんさ
 そろそろお前も気づくはずサ


ーー そうは言っても大抵のことはなかなか思ったようには行かないものだ。そんな時、この歌詞のように「人生なんてこんなもんさ」と悟ってしまうこともあるだろう。この歌の主人公は、頭の中でぐるぐる回る奴らの声「NOISE LIMITTER」に悩まされている。

 (Ooh Let's Think wow…)
 いつまで夢見てる
 (Ooh Let's Think wow…)
  いつまではしゃいでる
 (Ooh Let's Think)
 Because I Lost My Dream

社会には人の努力をバカにするしょうもない人間が案外たくさんいるものだ。そうした「ノイズ」に負けて楽な方を選ぶのは簡単だが、結局のところ夢や目標に向かって努力し続けた人間が一番強いのは、学生時代と何ら変わらない社会の真理である。

壁にぶつかってもなお戦い続けるか、それとも「どうせ」と投げやりになるか。どちらを選ぶかでその後の人生は大きく変わる。鬱陶しいノイズに負けそうになった時は、果たして本当に後悔しないかどうかを真剣に自問自答してみるといいだろう。

ちなみにこの歌の主人公は「やめてくれ‼︎」とノイズを掻き消そうと抵抗しているから大丈夫だ。



「お前らと一緒に騒ぎたいだけさ」というポジティブな姿勢


■ MASS AGE
 お前ら乗ろうと乗るまいと
 俺には全然関係ねェ
 仕事だなんて思っちゃいねェ
 お前らと一緒に騒ぎたいだけさ


何か大きな仕事に挑戦する時、「仕事だなんて思っちゃいねェ」というのはとても重要な心構えである。もちろん報酬を受け取る以上はプロとしての責任を全うすることは当然なのだが、必要以上に「仕事」であることを意識してしまうと、萎縮して本来の力を発揮できなくなる恐れがある。

たとえばWBCに出場したダルビッシュ有は、目標を「世界一」には置かず、それよりも「このメンバーで1日でも長く野球を楽しみたい」というリラックスした思いで大会に臨んだという。

特にリーダーが「お前らと一緒に騒ぎたいだけさ」というポジティブな姿勢を見せてくれると、部下にとってもやりやすいのではないだろうか。その意味でこれはフレッシュマンのみならず全ての労働者が見本とすべきスタンスと言えるだろう。



41年前の氷室京介の言葉とは?


■ ON MY BEAT
 自分を守るのは
 何かを残したあとだぜ
 形にこだわっちゃ
 古びたものしか見えない


一部の先進的なベンチャーを除き、未だに昭和的な働き方から抜けきれないと言われる日本の労働現場。前例に基づいた形式にこだわり、新しいことをやろうとすると煙たがられる。そんな環境で攻めに転じるのはなかなか難しいかもしれない。

しかし、それでも攻め続け、前に進み続けなければいけないのが資本主義のルールだ。企業の傘の下で言われてたことだけをやっていれば良かった時代はとっくに終焉を迎え、これからは「前例」よりも自分の「信念」に基づいて行動できる人材が重宝されるはずだ。

そんな未来を見越したかのような、41年前の氷室京介の言葉が胸に突き刺さる。そう、彼らは日本人の多くがサラリーマンとなって安泰な人生を選んでいた時代に、髪を逆立ててビートロックで勝負した異端児なのだ。だからこそ説得力も段違い。歌はこう続く。

「やたらと計算するのは棺桶に近くなってからでも 十分できるぜ Life is on my beat」

代表曲「Dreamin'」でも貫かれるBOØWYのアイデンティティ


■ Dreamin'
 OH Yeh l'm only Dreamin'
 I'm only Dreamin' for me


直訳すると「俺は俺自身のためにただ夢を見ているだけさ」といった感じ。BOØWYは夢を見ることの大切さを一貫したメッセージとして描き続けた。この代表曲「Dreamin'」は、まさしくBOØWYのアイデンティティそのものとも言える作品である。

おそらく彼らもバンドとして軌道に乗るまでは周囲の大人たちから後ろ指をさされ、相当に悔しい思いもしてきたのだろう。BOØWYの歌詞にはそうやって夢を否定する現実主義者への対抗心がこれでもかと投影されている。

 何もかもあたり前の様に消えちまって
 気づけばひとりさ
 (THIS MOMENT)

という歌詞には、一緒に夢を追いかけていたバンド仲間が徐々に脱落し、自分たちだけが残ってしまったことの虚無感がにじみ出ている。

それでも彼らはあきらめず、ただひたすらに夢を追い続けた。もちろん夢の形は人それぞれだが、大切なのは現状に満足することなく、

 このまま何もできないで
 年をとってゆくのはゴメンサ
 (16)

というスタンスで夢を持ち続けることではないだろうか。



そうした意志の強さをストレートに表現した「Dreamin'」という楽曲が、1988年4月5日に東京ドームで行われた伝説のラストライブ『LAST GIG』の本編ラストで演奏されたことは彼らのメッセージ性を端的に象徴していると言えよう。

つらいことも多い社会人生活だが、くじけそうになった時はBOØWYの楽曲を聴けば、夢に向かって走ることの大切さを再確認できるはずだ。フレッシュマンの未来に幸あれ!

BOØWY 40thアニバーサリー特集「ライブハウス武道館へようこそ」

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2023.04.03
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カタリベ
1985年生まれ
広瀬いくと
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