80年代ヒット曲 “イントロ秒数徹底調査” 1982年のシングルTOP100篇1982年 シングルTOP100のイントロ秒数は?
リマインダーで取り上げている1978年~1991年までの14年分を、1年ごとに年間シングルランキングTOP100のイントロ平均秒数を調査し、その結果を紹介していく連載企画。
第7回の今回は、“1982年” を調査します。その年間ランキングTOP10のラインナップと調査結果がこちら。
1位 待つわ / あみん(21秒)
2位 セーラー服と機関銃 / 薬師丸ひろ子(23秒)
3位 聖母たちのララバイ / 岩崎宏美(18秒)
4位 心の色 / 中村雅俊(19秒)
5位 北酒場 / 細川たかし(17秒)
6位 悪女 / 中島みゆき(14秒)
7位 ハイティーン・ブギ / 近藤真彦(15秒)
8位 チャコの海岸物語 / サザンオールスターズ(26秒)
9位 情熱・熱風・せれなーで / 近藤真彦(0秒)
10位 ふられてBANZAI / 近藤真彦(19秒)
※(カッコ)の数字はイントロの秒数
調査方法は、年間シングルランキングTOP100にランクインした曲のイントロ秒数を、0秒、1~2秒、3~10秒、11~20秒、21~30秒、31~40秒、40秒以上… の7つの長さに分けて集計していきます。1981年の結果をグラフにすると、こうなります!
ツッパリムーブメントはイントロ短縮傾向の要因?
平均秒数は16.2秒。前年の1981年の平均が17.2秒、1年前と比べると、ちょうど1秒短くなったという結果でした。イントロ「0秒」の曲の合計が、前年の1981年は6曲だったのですが、1982年は9曲。その中でも特徴的なのがこの3曲。
16位 ジェームス・ディーンのように / Johnny(0秒)
25位 男の勲章 / 嶋大輔(0秒)
38位 完全無欠のロックンローラー / アラジン(0秒)
不良スタイルで、疾走感のあるロックンロールを聴かせてくれるナンバーがチャートをにぎわせていたのが1982年。上記の3曲以外でも、「$百萬BABY」( Johnny:イントロ秒数1秒)、「ぶりっこRock'n Roll」(紅麗威甦:イントロ秒数4秒)など歌い出しやセリフで曲がはじまり、強い余韻を残したまま、イントロも全体の演奏時間も短い曲が非常に多いです。1980年にデビューした、THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIALからはじまった、“ツッパリ” “暴走族” といったスタイルで、当時の若者人気を一気に獲得したムーブメントは、イントロ秒数が短くなった要因の一つと考えられます。
初々しく力強いイントロ、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」
今回、取り上げるのは、年間シングルチャート2位の、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」。来生たかおの「夢の途中」との異名同曲リリースとなった経緯などは、他のカタリベさんのコラムやWikipediaを観ていただくとして、本コラムのために、今回この曲が主題歌に起用された、映画『セーラー服と機関銃』を改めて観て、やはり映画のラストに流れるのはこの曲しかない!と(今更ながら)宣言させていただきます。
映画では、薬師丸ひろ子演じる、普通の女子高生 “星泉”の前に、たくさんの怖い人が現れ、そして現れた人数と同じくらい、たくさんの別れが訪れるのですが、星泉は、“別れ” を経験するごとに惜しむ時間が短くなっていき、ものすごいスピードで立ち直り、前へ突き進んでいきます。その姿を描いたこの曲の歌い出しは、
さよならは別れの言葉じゃなくて
再び会うまでの遠い約束
澄み渡る透明感を持ち合わせた美しい高音で歌うこのフレーズの前には、星泉という存在を、そのまま音にしたような、初々しくて力強い、「別れ」を連想させるギターのアルペジオ。もう、このサウンドアレンジ以外、あの映画のラストを飾るのにふさわしいものなんてないなと思わせてくれる説得力!
悩んでいることがあったら、この曲を思い出すがいい―― 闇の中に一筋の光を照らしてくれるような、80年代を代表する素朴な銀幕スターがレコードデビューを飾った曲のイントロは、公開から40年経った2021年に観ても、そう語りかけてくれた気がします。
連載「80年代ヒット曲 "イントロ秒数徹底調査" 198X年のシングルTOP100」
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2021.10.11