松任谷由実の「恋人がサンタクロース」。クリスマスソングの中でも、イントロだけですぐにわかる名曲ですが、私の中での一番は、なんと言っても我らエイティーズ世代のアイドル、松田聖子がカヴァーした「恋人がサンタクロース」です。
1982年、聖子ちゃんのクリスマス企画アルバムとして発売された『金色のリボン』。このアルバムの中に収録されている「恋人がサンタクロース」は、聖子ちゃんカットの髪をゆらゆらさせて元気に可愛く歌っているのが目に浮かぶほど、恋する女の子をイメージさせる、見事な聖子版「恋人がサンタクロース」なんですよ。
昔となりのおしゃれなおねえさんは クリスマスの日 私に云った〜 ♬
出だしのこの部分、ユーミンが歌う「恋人がサンタクロース」は、主人公の学生らしき若い女の子の気分よりも “となりのおねえさん” 的な雰囲気が満載で、当時14歳だった私には、大人のクリスマスソングに思えました。もちろん、オシャレでカッコ良く。
ですが、聖子ちゃんのあの独特な、なんとも言えない甘ったれな可愛い高い声で聴くと、中学生で14歳の私にも、等身大の恋する乙女の歌に聴こえてきます。“おねえさん” から、クリスマスの日に起こる大人になればわかることを教えてもらっている “女の子” の気持ちになれてしまうんです。
ユーミンの歌声では、大学生以上の大人の恋のクリスマスソング。でも、聖子ちゃんの歌声だと、中学生の女の子も、聖子ちゃんカットの自分たちが感情移入できる等身大のクリスマスソングになっていったのです。
当時、レコードは中学生にはまだ高価なもの。貸し借りをしてみんなで聴いていましたが、この『金色のリボン』は、完全生産限定盤というすごく貴重なレコード。貸し借りをする中で、女の子が何人も順番待ちになった、“金色” に輝く超人気アルバムでした。
松田聖子として今のような確固たる地位の存在ではなく、女の子誰もが聖子ちゃんみたいに可愛くなりたい、なれそう、そして聖子ちゃんの歌を歌いたいと、遠いようで身近な感じのアイドルでした。だって、髪型を聖子ちゃんカットにすれば、とりあえず聖子ちゃんに近づいた気になれていましたからね。
ユーミンと聖子ちゃんの「恋人がサンタクロース」、どちらもいまだに、愛しい男性がプレゼントを抱え、つむじ風を追い越して来てくれそうな想いにさせてくれます。切なくなるクリスマスを胸キュンにさせてくれる名曲ですね。
2016.12.18
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