4月21日
1987年の島倉千代子、「人生いろいろ」と「愛のさざなみ」
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11月8日は、島倉千代子の命日だ。

そんな特別な日に、コラム掲載の機会を頂いたのだから、日本の歌謡史に偉大な足跡を残し、お千代さんの愛称で誰からも愛された彼女について書かないわけにはいかない。

まさにリスペクト。1955年に「この世の花」でデビューしてから亡くなる2013年までの58年間、なんと2000曲におよぶレコーディングを行ない、数多くのヒット曲を世に遺しているのだから。しかも、最後の曲「からたちの小径」のレコーディングを行ったのは亡くなる三日前とのこと。

生涯現役とはまさに彼女のためにある言葉だ。お千代さんの戒名は「寶婕院千代歌愛大姉(ほうしょういん せんだいかわいだいし)」。“永久に歌を愛する可愛い人” という意味とのこと。なんと、彼女に相応しい戒名なのだろうと僕は思ったよ。きっと本人も気に入っているはずだ。

命日にお千代さんのコラムを書くと言っても、僕は特に彼女のファンというわけでもない。ファンではないというのは、否定しているわけではなく、彼女の歌のジャンル、いわゆる演歌を好んで聴いてこなかったという意味だ。でも、1987年のお千代さんにはちょっと衝撃を受けてしまった。そう、今や彼女の代表曲にもなっている「人生いろいろ」との出会いだ。

僕はこの年、大学生として最後の年で、就職活動だったり、大切な人との別れだったり、頭の中がとにかく忙しくて、精神的にもかなり参っていた。そんな時、僕が自ら導き出した答え(=悟りの呪文)が偶然にも「人生いろいろ」だったので、お千代さんが歌う「人生いろいろ」にこの時の僕が共感しないわけがなかった。いや、共鳴という表現の方が正しかったかもしれない。それほど衝撃的な出会いだったんだ。

「人生いろいろ」の作曲は、ハマクラさんの愛称で親しまれ、ヒットメーカーとして数々の伝説を残した浜口庫之助。その曲調はハマクラさんらしく、演歌というよりはポップスで、一度聴いたら忘れられない心地よさがある。だからこそ、お千代さんのファンでなくても、誰もがこの曲を口ずさんだし、彼女の代表曲としての地位を得ることができたのだと思う。

ご存知の方も多いと思うけど、離婚や借金などお千代さんの私生活は壮絶だった。そんな苦労を重ねてきたお千代さんが「人生いろいろ」を歌う。お千代さんはこの曲をどんな気持ちで歌ったのだろう。


 ねぇおかしいでしょ 若いころ
 ねぇ滑稽でしょ 若いころ
 笑いばなしに 涙がいっぱい
 涙の中に 若さがいっぱい
 人生いろいろ 男もいろいろ
 女だっていろいろ 咲き乱れるの


僕にはお千代さんが弥勒菩薩に見えた。「人生いろいろ」とは、なんと達観した言葉なのだろう。以来この曲は、僕にとって神曲となっている。

1987年のお千代さんとの衝撃の出会いは実はもうひとつある。

―― それは、12月24日に放送された『MERRY X'MAS SHOW '87』でのこと。この伝説の音楽番組については以前コラムに書かせてもらっているけど、16曲ほどのセッションの中に、お千代さんの「愛のさざなみ」があったんだ。

「愛のさざ波 DEDICATE TO “CHIYOKO”」と銘打たれ、アン・ルイス、小泉今日子、松任谷由実の3人が振袖姿で歌い上げるお千代さんの1968年のヒット曲には、イントロや曲中にロバータ・フラックの「愛のためいき(Feel Like Makin' Love)」が織り込まれており、その素晴らしいアレンジと美しい映像に、僕はすっかり魅了されてしまった。この時の映像をまだ観ていない方は、YouTube で観ることができると思うので、是非探してみて頂きたい。

僕はこの時、恥ずかしながら「愛のさざなみ」を知らなかったので、この美しい曲を慌てて調べたよ。そして、お千代さんが歌う原曲も聴いて、歌詞を理解して、大好きになってしまった。もう一つの神曲の誕生だ。

これぞ究極のラブソング。作曲は「人生いろいろ」と同じでハマクラさんだ。

1987年の僕は、お千代さん✕ハマクラさんのふたつの曲にすっかりやられてしまったことになるけど、「人生いろいろ」と「愛のさざなみ」は、今でも多くのミュージシャンにカバーされているってことは、やられてしまったのは僕だけじゃないってことだ。

普段、島倉千代子を聴かない方、ジャンルに拘らず、是非この二つの曲を聴いてみてください。そこには悟りを得ようと努力している弥勒菩薩がいます。

2018.11.08
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  YouTube / cozy7285
 

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このキョンキョンは、何度観ても可愛すぎて涙が出る、、、
国宝に登録してもいいんじゃないだろうか。
2018/11/08 13:17
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返信
カタリベ
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Re:minder - リマインダー