6月17日
帰れない素晴らしい夏の日、ブライアン・アダムス「想い出のサマー」
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ブライアン・アダムスのシングル「想い出のサマー」がリリースされた日
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photo:bryanadams.com  

思い出は、突然人を襲う。

例えば一葉の写真。写っている仲間の顔や場所、雰囲気までもが蘇り、僕たちを「あの日」に連れ去ってしまう。

思い出がこれでもかと詰め込まれる季節が夏であろう。夏休みや旅行、出会いや別れ…。特に今年の夏は、明治以来初めての「元号の終わりがあらかじめ知らされた」夏であった。「平成最後の夏」という言葉を何度耳にしたか。

しかし考えて見れば「〇〇最後の〜」という言葉は、いつでも当てはまる。「22歳最後の夏」でもいいし、「結婚前最後の夏」でもいいわけだ。極端なことを言えば、明日隕石が地球に落下するとしたら今日が「人類最後の日」となるわけで、いい加減なものである。気にすべきことは、思い出というものだ。

この前、学生時代の友人が引っ越すというので手伝いに行った時の話。部屋の奥から発見されたアルバムに学生時代、友達みんなでバカなことをした写真がずらりと並んでいた。

今は Facebook や Instagram などで写真を見返すことができるが、アルバムにあった写真は SNS には晒すことの憚られるものばかり。しかしページをめくるごとに、公衆の面前に出すことを見越して撮った写真などからは伝わらない空気がジワリと伝わってきた。

「あいつ、今何してるんだろなぁ」「あ、これボーリングの時のだぜ」「なんだこのお前の顔」「このギターまだ持ってる?」

引っ越し作業は中断。思い出話は深夜まで続いた。このような経験は誰にでもあるだろう。そして僕は無性にある曲を聴きたくなった。ブライアン・アダムス『想い出のサマー』だ。

原題は “Summer of ’69”。1969年夏のメイントピックは、ウッドストックフェスティバルである。1969年はその時期を過ごしたアメリカ人(ブライアンはカナダ人だが)にとって特別な思い入れがある年だそうである。その同じ年の冬、かの有名なローリング・ストーンズのコンサート中に黒人男性が殺害されるという「オルタモントの悲劇」でアメリカ、及びロックの持つ暗部が明らかになるがそれは別の話。

この曲は、もう二度とやってこない幸福な夏を回想するものだ。69年、歌の語り手は安物のエレキギターを購入してバンドを組み真剣に練習したが、メンバーは結婚やら様々な事情で辞めていく。アップテンポな曲調でアダムスの声はパワフルだが歌詞はアンニュイな調子を帯びる。この矛盾が心を締め付ける。

「今思い返してみれば、あの夏は永遠に続くものだと思っていた。もしも、選択肢があったならば、俺はずっとそこにいたかった。人生の中で最高の日々だったからな。」

あの夏には帰れない。帰れないからこそより美しい。陳腐さを承知で言うなら「帰れない素晴らしい夏の日」は心の中の「隠れ家」なのだ。世知辛い現実からいつでも帰れるような「隠れ家」。26歳の人間が書くべきことではないかもしれない。これからも思い出は増えるはずだから。

また “Summer of ’69” という曲に『想い出のサマー』とつける邦題のセンスが素晴らしい。「思」とは漠然と考えることを意味する。対して「想」という漢字は「心にものの姿を見る」という意味だそうだ(『新漢語林』より)。僕らは生きている限り、あの夏の思い出を「想い出す」し、生きる糧にする。

心に刻まれた最高の日々の「想い出」は、決して消えることがないだろう。“Summer of ’69” のイントロの衝撃的なドラムのように、突然思い返す時があるかもしれない。そして「歌」。歌を伴った思い出は人を暖かく包み込む「隠れ家」になるし、思い出に「歌」はつきものだ。

―― 案の定引っ越し作業は大いに遅れ飲み会に発展した。これも一夏の大切な思い出かもしれない。

2018.09.08
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  YouTube / Bryan Adams


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カタリベ
1991年生まれ
 白石・しゅーげ
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