5月1日

5月1日は中森明菜のデビュー記念日!スター誕生から「スローモーション」までの印象

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スター誕生で「夢先案内人」を歌った中森明菜


中森明菜がデビューするまでの話というのはわりとよく知られているので、ご存知の方も多いと思う。オーディション番組『スター誕生!』に応募し、3回目の本選挑戦で山口百恵の「夢先案内人」を歌って合格。そのとき審査員だった作曲家の中村泰士が「99点」という高得点を付けたとか、中村泰士が他の審査員を説得して高得点に繋げた、というようなことも有名なエピソードだと思う。

90年代あたりに、テレビ東京が過去の映像を振り返る番組を放送していて、その時にデビュー前の明菜が出演していた番組の映像を見たことがある。顔が丸くて少しふっくらとした明菜が、私服と思われるような赤いセーターを着ていた記憶がある。

「今の衣装は本番の衣装?」

という問いかけに対して、

「いえ、まだ作ってくれてないんで…」

と答えたことでバックバンドも含めたスタジオ中が爆笑。

「あ、まだ出来てないんです… すみません…」

と、「やっちゃったかも…」という表情を浮かべながら照れ笑いする明菜はとても初々しかった。

しかし、歌い始めると一転、デビュー曲「スローモーション」のサビでは堂々と伸びやかな歌声を披露。当時この光景がどう見られていたのかはわからないが、今見たら「こいつは大物だ!」と思えるような状況ではある。

キャッチフレーズは「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」


私が初めて「スローモーション」を聴いたのは、ラジオ番組『決定! 全日本歌謡選抜』だったと思う。駆け上がるようなピアノのスケールから始まるイントロがとても印象的だった。そして安定した歌唱力。「あ、これは今までのアイドルとはちょっと違うのかな」と思ったものだ。

1982年デビュー組は小泉今日子、堀ちえみ(3月デビュー)、石川秀美、早見優(4月デビュー)などレベルの高いアイドルが多く、5月デビューとなった明菜の出遅れ感は否めない。

事実、アイドル雑誌として有名な月刊明星でも、同期のアイドルがカラーの見開きページに掲載されているのに対して、明菜はモノクロの見開き、もしくは他のアイドルたちと一緒に並べられた記事などで、注目度という点で優先順位は下にされていた気がする。

しかし、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」や大橋純子「シルエット・ロマンス」などのヒットにより、当時旬だった来生えつこ・たかおコンビによる作品をデビュー曲に持ってきたことで、「音楽性の高いアイドルとして長い目で見てほしい」という制作側の意図があったのだろう。

濱口英樹氏の著書『ヒットソングを創った男たち〜歌謡曲黄金時代の仕掛人』によると、当時のディレクターだった島田雄三氏も「アイドルじゃないアイドルを創ろう」と考えたという。

ただ、「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」というキャッチフレーズは、その楽曲と比べるとかなりチグハグに感じたが(笑)。



「スローモーション」で感じたブレイクする要素


明菜は確かにセカンドシングル「少女A」でブレイクした。それは事実だが、いきなり降って湧いたようにこのチャンスが来たわけではなく、それまでにブレイクする要素は十分にあったと思う。

例えば、「スローモーション」はオリコンシングルチャートで最高位30位だったことから、さほど売れなかったように語られることもあるが、セカンドシングル「少女A」がリリースされるまでの約3ヶ月間、30位台〜40位台をキープしているのだ。

また、この年の7月4日に放送された『全日本有線放送大賞(上半期)」では、松本伊代(「センチメンタル・ジャーニー」)、シブがき隊(「NAI・NAI・16」)、華盛開(「愛はポケットの中に」)、山田邦子(「邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)」)とともに、「スローモーション」で新人賞を受賞している。ということは、音楽界的にはデビュー曲だけで既に十分注目されていたことが伺える。

それに、ファーストアルバム『プロローグ〈序幕〉』は、オリコンLPチャートで初登場7位を記録している。先ほどの有線放送大賞にしても、アルバムリリースにしても、その時点で「少女A」はまだリリースされていない。明菜の音楽性に注目している人がそれだけ多かったという証なのだろう。私は当時、オリコンウィークリーでチャートを見てとても驚いた記憶がある。

アルバム『プロローグ』については、松林建さんのコラム『中森明菜のデビューアルバム「プロローグ」は “いわゆる普通の17歳” の序章だった』に詳しく書かれているので、ぜひそちらをご覧いただきたい。



世間が求めていたのは松田聖子との対比か?


音楽性ばかりについて語ったが、この年の夏に月刊明星で実施された「オールスター紅白ベスト・テン人気投票」という企画において9位。7月6日集計の中間発表でも10位に入っていて、アイドル好きの月刊明星読者からも既にトップアイドルの一人として認知されていたことがこの結果からも伺える。

70年代の山口百恵、桜田淳子のように、松田聖子と対等、かつキャラクターの違う存在を世間は何気なく求めていて、そこにうまくハマったのが明菜だったのではないだろうか、と思ったりもする。

さて、「少女A」からの快進撃についてはもう語るまでもないだろう。しかし「スローモーション」から始まらなければ、「少女A」の強烈なインパクトも、その後の明菜の活躍もなかったことは明白だと私は思うのである。

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2023.05.01
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カタリベ
1966年生まれ
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