ヘアスタイル。それはロックという音楽において重要なファクターであるともいえます。これまでのロックの歴史においてもミュージシャンのヘアスタイルの変遷はなかなか面白いものがありますね。
メタル界では長髪がトレードマークでもありますし、史上最悪最凶ともいわれたマレットヘア(前髪は長くないが襟足だけを伸ばす、80年代に流行したヘアスタイル。「リーサル・ウェポン」時のメル・ギブソンなど)にしてもデュラン・デュラン、デヴィッド・ボウイ、U2などは経験済みです。
シニード・オコナーのスキンヘッドやグレイス・ジョーンズの角刈りなど女性アーティストのインパクトあるヘアスタイルも個性的でした。テクノカットなんていうのもありましたねえ。そんな中で私がいちばん衝撃を受けたヘアスタイルのアーティスト、それはフロック・オブ・シーガルズのフロントマン、マイク・スコアです。
80年代のブリティッシュ・インヴェイジョンに乗って現れたフロック・オブ・シーガルズは、シンセを主体としたリバプール出身のニューウェイヴバンド。シングル「アイ・ラン」のヒットで知られます。疾走感あるテンポと親しみやすいメロディ、そして未来的な雰囲気を感じさせる「アイ・ラン」は実によい曲で当時よく愛聴したのですが、曲の記憶よりも優先される記憶がマイク・スコアの髪型!
言葉では表現できない形態をしていたため、当時でもカモメヘアなどとバンド名由来の呼ばれ方をしていました(カモメ=Seagull)。そうですねえ、プロディジーのキース・フリントの頭を剃ってないヴァージョンとでもいいましょうか…。「アイ・ラン」のミュージックビデオではそんなに目立たない髪型でしたが、アーティスト写真を見たときには本当にびっくりしたものです。
アメリカでは、セカンドアルバム以降これといったヒットもなく、一発屋扱いされ、コメディ映画などでネタにされることもありますが(「アイ・ラン」は、米国民にはよっぽど心に刻まれているようでかなりの数の映画に使用されています。今年のアカデミー6部門を受賞した「ラ・ラ・ランド」まで!)、UKでは4枚目くらいまでは頑張ってました。
髪型ほどのインパクトはないですが、ちゃんと聴くとよくできたアルバムをつくっていたので機会がありましたらご一聴を。オリジナルアルバムのジャケットで、ご自慢のカモメヘアを見せつけるわけでもなくアーティスト写真をフィーチャーしなかったのは音に対するこだわりもあったのでは?
ついでに髪型以外でもうひとつ私が印象に残ってるのがファーストアルバム発売時の日本盤のキャッチコピー。
「アイ・ラン、愛乱… あ、いらん」
だったと記憶してます。いいコピーが思いつかず、自棄にでもなったのでしょうか…。まあ、でも、このコピーで妙に引っかかったのは確かです(笑)。
2017.03.11
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