2023年 8月5日

早見優【最新ライブレポ】現役感バリバリの「YES優YES☆夏色のナンシー祭り2023」

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早見優のライブ「YES優YES☆夏色のナンシー祭り2023」開催日
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答えはどっちもYes!「YES優YES☆夏色のナンシー祭り2023」


 恋かな(Yes)
 恋じゃない(Yes)
 愛かな(Yes)
 愛じゃない(Yes)

恋なのか? 恋じゃないのか? 答えはどっちも「Yes!」。そんな「No」と言わない早見優が、8月5日、渋谷プレジャープレジャーで「YES優YES☆夏色のナンシー祭り2023」を開催した。

まずこの「Yes 優 Yes」ってタイトルが素晴らしい。代表曲「夏色のナンシー」の歌詞と、早見がCMに出演していたコカ・コーラのキャッチコピー「Yes Coke Yes」の両方にかけているのは言うまでもないけれど、全肯定で常に前を向いて生きる早見にピッタリのタイトルだ。

個人的な話で恐縮だが、私は早見と同学年。しかも出身大学が同じだ。在学中、何度かキャンパスで見掛けたりしていたので、“同級生” という感覚が勝手にある。なので、昨年デビュー40周年を迎えた早見がこうしてソロライブを開いてくれるのはすごく嬉しい。同学年のサッカー・三浦知良がまだ現役でプレーしているのと同様、とても励みになっている。それは同世代のファンも同じだろう。

令和の時代をVividに生きるバリバリの現役女性シンガー早見優


ステージの最前列には、頭にハチマキを締め、黄色いメガホンを持った元・親衛隊の面々が陣取り、会場にはかつて使われていた「TROPICAL HEROINE 早見優」の横断幕も。いいぞいいぞ!

開演前のアナウンスがやけに軽妙で、どっかで聞いたことのある声だなと思ったら、藤井隆だった。藤井は大の優ファンで、曲をプロデュースしたことも。そのプロデュース曲「Right Here RIGHT Now」「溶けるようにKiss me」「GET UP」のメドレーからライブはスタート。黄色のトップスに、黒のショートパンツ姿で早見が颯爽と現れると、満員のフロアからは大歓声が!

往年のヒット曲からスタートするのではなく「今の曲」から入るのが早見らしい。だって早見優は「懐かしの80年代アイドル」ではなく、令和の時代を “Vivid” に生きるバリバリの現役女性シンガーなのだから。

藤井プロデュース曲メドレーの後は一転、デビュー曲「急いで初恋!」。原点に戻りつつ「♪キミの香り 深呼吸〜」とひと息入れる構成がニクい。しかしステージ上の早見は休むことなく、さらに3曲熱唱。そこでようやくMCだ。かっけー!



この日のゲストはヨッちゃんこと野村義男と山川恵津子


「皆さん大丈夫ですか? 暑いですか? 水分補給してますか?」とファンをいたわりつつ、この日最初のゲストを紹介。ヨッちゃんこと野村義男と、作曲編曲家の山川恵津子がステージに登場した。

ヨッちゃんを見て「なんか『三等高校生』を思い出したんだけど」と言う早見。ナツカシー! ヨッちゃんの初主演映画で、早見は彼女役を務めた。といっても登場はわずかワンシーンで、引っ越していく早見が乗った電車を、ヨッちゃんが泣きながら追いかけていく場面のみ。なので「撮影初日で出番が終わった(笑)」とか。

ヨッちゃん・早見・松田聖子(=サンミュージックの先輩)で『平凡』の表紙を飾ったこともあるそうで、撮影の際のエピソードをヨッちゃんが披露。鏡台の前でメイクをしていたら、先にメイクを終えた早見が現れ「お菓子食べる?」と、ヨッちゃんが着ていたタンクトップの肩のところにクッキーを差し挟んでいったとか。「普通、前に置くじゃん。さすが外国育ちだなって(笑)」

ヨッちゃんと山川は、早見の40周年記念3枚組アルバム『Affection』に参加している。早見が作詞に参加、山川が作曲した「make lemonade」に続いては、ヨッちゃん作詞の「今が一番好き」を、ヨッちゃんのギター、山川のキーボードをバックに披露。「耳に残るあなたの声 今も覚えてる 青春っていつまでも大切なもの」という歌詞が印象的なこの曲、アルバムでは松本伊代・森口博子と3人で歌っているが、この日は早見がソロで歌った。

この曲のレコーディングのとき、何十年ぶりかで再会した早見とヨッちゃん。「ヨッちゃんの声を聞いた瞬間、もう10代に戻っちゃった」そうで、わかるなあ、その感覚。青春を大切にしながら、今もライブで活躍する二人に「今が一番好き」は一番似合う曲だ。

今回のライブ、途中でこんなMCがあった。

「『優さんは。私の青春そのものでした』というメッセージをみんなから頂くんですけど、考えてみたら、みんなが10代の時にお小遣いを貯めてレコードを買いに行ってくれたり、いっぱいリクエストハガキを書いてくれたり…… そういうみんながいたからこそ、こうして歌うことができたんだなって。改めて、私の青春は皆さんなんですね。もう本当に心から感謝しています。ありがとうございます!」



早見優ファンを公言するDJ、Night Tempo


早見には、若いファンも多い。下の世代への橋渡しに貢献したのが、ファンを公言するDJ、Night Tempoだ。この日、なんとサプライズゲストとして登場。世界中でフロアを熱狂させている彼が、こうしてわざわざ足を運ぶこと自体、早見のアーティスト性が高いことの証しである。

「ザ・昭和グルーヴ」シリーズで、早見のアルバム曲「COMPLEX BREAK OUT」(1988年 タケカワユキヒデ作曲・編曲)と、化粧品のCMソングにもなったシングル「BEAT LOVER」(1989年)をリエディットしたNight Tempo。この2曲を選んだ理由は「シンプルにカッコいいから」。楽曲の良さを基準に過去曲を掘り起こし、新しい解釈で「今の曲」として再生するNight Tempoの仕事には敬服するばかりだ。

「BEAT LOVER」は、Night Tempoが週刊誌の「花の82年組特集」で最近よく聴いている曲として挙げたことがきっかけで、SNSで早見本人とつながり、リエディットが世に出ることになった。二人をつなげた「BEAT LOVER」を生コラボで聴けたのは嬉しい限り。

さらにこの日は、二人のコラボ新曲「Shampoo」のリリース発表もあり、このライブで初お披露目。これまたシンプルにカッコ良く、Night Tempoがなぜ “優ファン” なのか、聴けば納得できると思う。早見の音楽センスの高さゆえだ。このシャンプーはもちろん、資生堂「恋コロン 髪にもコロン ヘアコロンシャンプー」だろう(笑)。



アンコール曲はもちろん、みんなお待ちかねの「夏色のナンシー」


後半からキラキラ光るミラーボール風の衣裳と、美脚全開のミニスカに着替えた早見は、さらに飛ばす。「ここからはコールOKですから」と親衛隊に振り、女性ダンサー2人を従え、ヒットメドレーが始まった。

「ラッキィ・リップス」「渚のライオン」「誘惑光線クラッ!」と筒美京平3連発には思わず「クラッ」と来た。筒美も、洋楽を聴いて育った早見の音楽センスを高く買っていた一人だ。

最後は中原めいこ作詞・作曲の「PASSION」で締めて、早見はいったん退場。「アンコール! アンコール!」の声に乗って現れたのが、村上ショージ(笑)。『オレたちひょうきん族』でおなじみになった「何を言う、早見優」のフレーズを早見本人とのコラボで聞けたのは、これまた貴重だった。

アンコール曲はもちろん、みんなお待ちかねの「夏色のナンシー」。曲に入る前に、早見からこんな言葉があった。



「私も健康に気をつけるので、みんなも健康に気をつけて…… まさか40年前はこんなMCなかったですよね。でも本当に、腰が痛いとか、肩が痛いとか、上がらないとか、そういうふうに体の痛みがあるっていうことは、生きている証しなので」

ホント、そうだよなあ。生きている限り、肉体は日々老いていく。それは仕方のないことだが、その老いも「生きている証拠」と前向きにとらえる早見。ネガティヴなこともポジティヴに変えてきた彼女だから言える「Yes 優 Yes」なのだ。素敵すぎるだろ!

「Yes!」コールで会場が一体となった「夏色のナンシー」で全19曲を歌いきった早見。今後もライブイベントを「体力が続く限りやっていきたい」と宣言してくれた。

同学年の私も、疲れたとかダルいとか言ってちゃダメだよな。つねに「Yes!」と言える50代であろうと心に誓った夏の日だった。優さん、素晴らしい祭りをありがとう!


プロフィール
早見優(歌手)
日本生まれ。3歳から14歳までグァム、ハワイで育つ
14歳でスカウトされ82年、「急いで!初恋」で歌手デビュー。
「夏色のナンシー」や「PASSION」などのヒット曲がある。
バイリンガルと国際感覚を生かし、TV、舞台などで活躍。
上智大学比較文学部日本文化学科を卒業。
2008年にワインエキスパート認定。
2018年4月にダンスフィットネスZUMBA®️インストラクター認定。
AFAAプライマリー・フィットネス・インストラクター認定。
NHK World「Dining with the Chef」やNHKラジオ「深夜便ビギナーズ」(毎月第3土曜日)レギュラー出演中。
2022年にはデビュー40周年を迎え、ベストアルバム「Affection ~YU HAYAMI 40th Anniversary Collection~」を発売。
2023年、BS-TBS「昭和歌謡ベストテンDX」新司会を務める。

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2023.08.13
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カタリベ
1967年生まれ
チャッピー加藤
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